東北のニュース
被ばく健康管理、年内提言 田中原子力規制委員長に聞く
 | 田中俊一委員長 |
|
19日発足した原子力規制委員会の田中俊一委員長は20日、河北新報社のインタビューで、福島第1原発の廃炉や周辺地域の再生に積極的に関与する方針を示した。住民の放射線被ばくの健康管理について、年内にも提言をまとめる方針を明らかにした。(聞き手は東京支社・石川威一郎)
−どのような規制組織を目指すのか。 「事業者や政治から独立し、安全に関して必要なことは要求する。重要なのは透明性をいかに保つかだ」 −原発の再稼働問題に臨む姿勢は。 「幅広い面から安全を考えなければいけない。10カ月の予定で全体的な規制をきちんと見直す。新しい設計の原子炉もあるので、個別に判断する。再稼働できず、お蔵入りする炉もあり得る」 −建設中の大間原発(青森県大間町)などへの対応は。 「建設再開は事業者の判断。先々どういう規制が出てくるか分からない段階で造って、後でやり直すよりは、常識的には待つのが普通。実際運転するかどうかの判断は政治がする。私どもの判断ではない」 −福島第1原発事故には今後どう関わるか。 「あれだけ壊れた原子炉は普通の廃炉とは違った安全上の注意がいる。規制委の法的建前は申請に対する判断だけだが、福島に関しては積極姿勢でいく。求められていないが、事業者が作る廃炉計画にも意見を出す。低線量被ばくの不安が続くので健康管理をどうすべきか、年内にも規制委として提言をしたい」 −「原発ゼロ」が打ち出された中で、技術の維持や人材育成は可能か。 「どうやってモチベーションを保つか。気概を持って知見を高め、経験を積むことが大事だ。事業者よりも高い知見が求められる一方で、小さな点は現場を持つ事業者がやればいい。そこの仕分けなど規制の在り方そのものも検討する」
<たなか・しゅんいち氏>1945年、福島市生まれ。東北大工学部卒。日本原子力研究所副理事長を経て、2007〜09年、原子力委員会委員長代理。日本原子力学会会長も歴任。原発事故後、福島県内で除染に携わった。67歳。
2012年09月21日金曜日
|
|