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国際
【主張】習氏の尖閣発言 長期戦に備え同盟結束を
中国の次期最高指導者となる習近平国家副主席がパネッタ米国防長官との会談で、日本政府の沖縄県・尖閣諸島国有化を「茶番」と批判した。米国に対しても「言動を慎み、主権問題に介入しないよう希望する」と高圧的要求を行った。
主権国家の行動を愚弄する非礼な発言であるだけでなく、尖閣問題で日米同盟分断を狙った要求と受け止めざるを得ない。野田佳彦政権は強く抗議すべきだ。同時に尖閣奪取を狙った中国の攻勢の長期化を覚悟した上で、日米の結束を強化し、有効な対抗措置を進めるべきだ。
訪中前に日本を訪ねたパネッタ氏は、日本防衛義務を定めた日米安全保障条約の「尖閣適用」を改めて確約し、在沖縄米海兵隊の新型輸送機オスプレイの運用開始に向けた協議も進めた。
習氏の発言は、日米同盟のこうした動きを阻止し、米国の手も縛ろうとする意図が明白だ。満州事変を持ち出して日本の軍国主義を批判するなど、「反日」の姿勢も習氏は鮮明にした。
今回、中国側は一連の反日デモに加え、中国公船による領海侵入の常態化、経済通商面での圧力、「尖閣領有」を主張する海図の国連提出など、強硬かつ計画的な措置を次々と打っている。中国側の大陸棚延伸案も国連大陸棚限界委員会に持ち込むという。
習氏発言と併せて、人民解放軍の政治戦略の法律戦、世論戦、心理戦を駆使して一気に尖閣奪取に出てきた可能性もある。
問題は、日本政府の対抗措置が後手に回りがちなことだ。野田首相は19日、中国の反応が「想定を超えている」と述べた。危機管理に問題があることを事実上認めた発言ともいえ、極めて遺憾だ。
玄葉光一郎外相も「日本の対外発信を強化しなければ」と語ったが、中身がはっきり見えない。日本が尖閣で「領土問題は存在しない」との立場をとってきたことが足かせになっていないか。
オスプレイは、米海兵隊の装備・展開能力を飛躍的に高め、とりわけ尖閣周辺の緊急事態にも有効だ。中国に対する抑止力強化にもつながる。野田政権はその早期運用開始に全面協力するとともに、尖閣に関する日本の立場と主張を米国に繰り返し伝えるべきだ。
尖閣の防衛手順を緊密に調整することも欠かせない。日米は長期戦に備えなければならない。
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