電車内で痴漢をしたとして、東京都迷惑防止条例違反の罪に問われた都内の20代男性に対し、東京地裁は20日、無罪(求刑懲役4カ月)とする判決を言い渡した。井下田英樹裁判官は「犯人の手をつかんだという少女の説明には疑問が残り、人違いだった可能性がある」と述べた。
男性は1月、東急大井町線の満員の電車内で、10代の少女のスカートをまくり上げて下半身を触ったとして起訴された。少女は「後ろから自分の体を触ってきた左腕のすそをつかんだ」と説明していた。
判決は、少女が公判で「年配の女性に助けを求めた」などと、捜査段階で話していなかった説明を始めたことなどから、「少女の説明には疑問点もあり、それだけで男性が犯人とは認められない」と指摘した。また、男性の手に付いていた繊維片が簡易鑑定しかされなかった点について「検察の立証の欠点と言わざるをえず、客観証拠が足りない」と述べた。