日馬富士(左)に強烈な頭突きをくらった高安=両国国技館で
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◇秋場所<10日目>
(18日・両国国技館)
横綱白鵬(27)=宮城野=は栃煌山のはたき込みに屈し、平幕の旭天鵬(38)=友綱=は鶴竜につり出されて、ともに土がついた。栃煌山は初金星、鶴竜は勝ち越し。綱とりに挑む大関日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は厳しい攻めで高安を下して無敗を堅持、単独トップに立った。前日黒星の稀勢の里は豪栄道をすくい投げで退け、1敗を守った。
右で張ったあと間髪入れずに繰り出した強烈な左の張り手が高安の顔面を捉える。左膝がガクンと落ち、前のめりになったところをとどめは頭突き。完全に足元がよろめいた22歳の若武者を日馬富士は左四つから下手投げで撃沈させて無傷の10連勝達成だ。
「もう落ちたかと思って、いったん力を抜いた。でもよく見たらまだ落ちてなかった。あまり無理せず体が良く反応した。(張り手は)流れの中で無意識にやっている」
幕内で2番目に軽い大関が尊敬するのは同じ軽量で知られた元横綱千代の富士(現九重親方)だ。この日、同親方は「オレのマネをしたらいいんだ」と激励した。「小さい体だから横綱になれた。小さいからこそ速さとうまさを伸ばせた。これなら負けないという型を作ること。型の完成イコール負けない相撲なんです」
綱とりと同時にV争いでも並走していた旭天鵬と横綱白鵬が敗れ、単独トップに立った。「余計なことは考えるな」。取組後、毎日応援メールが入る元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(31)からのアドバイス通り「1日一番、全身全霊でやるだけ」と日馬富士。残り5番。繰り返すいつものセリフがいよいよ重みを増してきた。 (竹尾和久)
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