日本原燃は19日、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の完成予定時期を今年10月から1年間延期すると同県に報告した。国に再処理事業を申請した1989年は97年の完成予定だったが、溶融炉でのトラブルなどが相次いで発生。延期は19回目となり、建設費も当初の7600億円から約3倍の2兆1930億円に膨らんでいる。
今回の延期について、原燃は「東日本大震災で工程が10カ月遅れたことや、高レベル放射性廃棄物とガラスを混ぜる溶融炉で新たなトラブルがあった」と説明している。川井吉彦社長は19日に県庁を訪問。佐々木郁夫副知事に対し「申し訳ない。技術的に(工場完成の)見通しは立っている」と述べた。2030年代に原発ゼロをめざす政府の方針通りなら、原発の燃料を作る再処理工場も不要になるが、川井社長は会見で、「ゼロは実現困難だ」として、同工場を予定の40年間動かす姿勢を強調した。