尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる日中間の摩擦を緩和するため、日本に続き中国を訪問したパネッタ米国防長官は、訪中2日目の18日、中国の梁光烈国防相との会談後に行われた共同記者会見で「2014年の環太平洋合同演習(リムパック)に中国を招請する」と明らかにした。パネッタ長官はさらに「米国は中国とアジア太平洋諸国との交流強化を積極的に支援する」と述べた。
リムパックは、米国の太平洋軍司令部の主導で2年ごとにハワイ沖で実施される軍事演習で、今年も6-8月に韓国、日本、フィリピンなど22カ国が参加して行われた。だが米国は、ロシアを招待したものの、中国は今回も招待せず、中国が「リムパックは中国を封鎖するための演習」だとして強く反発していた。パネッタ長官が中国に対し、リムパックに招待する意向を伝えたのは、米国のアジア回帰戦略に対する中国の警戒心を弱めると同時に、中国と日本、東南アジア諸国との間で激化する領土紛争を緩和させるための措置だ、と専門家はみている。中国がリムパックに参加すれば、日本やフィリピンなど紛争相手国の海軍(海上自衛隊)と共に演習を行うことになる。
梁国防相はこれについて「釣魚島をめぐる紛争激化を誘発した責任は完全に(国有化を断行した)日本にある」として「われわれは事態を見守りながら、さらなる対応を保留している。中国も平和的な交渉を通じ、この問題が解決されることを希望する」と述べた。だが、梁国防相は「米国が釣魚島を日米安全保障条約の適用対象に含めることについては、断固反対する」として、米国に対し「いずれか一方の肩を持たないという約束を厳守することを望む」と求めた。
パネッタ長官は17日、訪中に先立ち東京で行われた記者会見で、日中両国に対し、尖閣諸島問題について冷静さと自制を求め、外交的手段で事態を解決するよう促した。
中国は、就任後初めての訪中となったパネッタ長官を特別待遇で迎えた。17日午後に北京に到着したパネッタ長官は、中国人民解放軍の馬曉天・副総参謀長の出迎えを受けた。19日には、約2週間にわたり公の場に姿を見せていない中国の次期最高指導者、習近平国家副主席と会談する。
米中両国は、習副主席とパネッタ長官の会談が実現するよう、同長官の訪中日程を1泊2日から3泊4日に延長した。これは上海の地方紙「東方早報」が報じた。パネッタ長官は習副主席との会談後、山東省青島にある中国の北海艦隊本部を訪問し、中国の軍艦や海軍施設などを視察する。