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【社会】

「ワクチンと自閉症」関連せず 名大院確認

2012年9月16日 10時43分

 名古屋大大学院医学系研究科の尾崎紀夫教授(精神医学)らのチームは、幼児期のワクチン接種は自閉症の発症と関係ないことを、日本人の症例データを基に初めて確認した。「ワクチンを打つと自閉症になる恐れがある」という説を科学的に否定。尾崎教授は「誤った情報が今も多くあふれているが、ワクチンを打たないデメリットは大きい」と指摘している。

 16日、名古屋市昭和区の名古屋大病院で開かれる日本神経科学大会のサテライトシンポジウムで報告する。

 ワクチンと自閉症をめぐっては1998年、英国の研究チームが、はしか、おたふくかぜ、風疹を予防する三種混合ワクチンと自閉症発症に関連があるという論文を発表。2010年には研究方法に問題があったなどとして論文は撤回されたが、その後も自閉症とワクチンや、ワクチン防腐剤の水銀化合物との関係を指摘する論文が出ており、ワクチン接種を避ける家庭も少なくない。

 尾崎教授らは、国内で三種混合ワクチンを接種していた84年4月〜92年4月に生まれ、母子手帳が保管されている人を対象に調査。自閉症やアスペルガー、広汎性発達障害と診断された小学生から高校生までの189人と、それ以外の同年代の224人を比べた。

 三種混合だけでなく日本脳炎やポリオなど、幼児期のワクチン接種歴を調べて比較。自閉症患者とそれ以外の人の間では、三種混合やその他のワクチンの接種数に統計学的な差はなく、ワクチン接種や防腐剤が自閉症の発症率を高める科学的な根拠はないと結論づけた。

 自閉症とワクチンとの関係を否定する論文は欧米の患者データを基に発表されていたが、国内で自閉症患者とそれ以外の人を比較したデータはなかった。尾崎教授は「ワクチン接種を不安に思う保護者に、科学的な調査結果を示せた意義は大きい」と話す。

(中日新聞)

 

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