総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本問題委員会は18日の会合で、2030年代に原発ゼロを目指すとした政府の「革新的エネルギー・環境戦略」について議論した。三村明夫委員長(新日本製鉄会長)は「全体としての整合性が取れていない」と強く批判。新たなエネルギー基本計画策定に向けた議論を続けることは、現時点では難しいとの考えを示した。
三村委員長は、政府の戦略について「(使用済み核燃料の)再処理、日米関係、核不拡散といった問題をどう解決するのか。代替電源や高コスト化への対応も全く目鼻が立っていない」と指摘。個人的意見として「原子力を放棄するという選択はすべきではない」と述べ、原発ゼロ反対を表明した。
会合では、原発推進派の委員が政府の戦略に対し「国家の将来が危うくなる」として再考を要求。脱原発派の委員は、再処理事業の継続が戦略に盛り込まれたことに関し、「地域の事情が国全体の政策を縛って硬直化している」と批判した。
会合に出席した枝野幸男経済産業相は、原発ゼロが安全保障に与える影響について委員に問われ、「悪化させる可能性がある」との認識を示した。
[時事通信社]