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2008.03.12
第13回自然農法・EM技術交流会京都大会
循環型の地域社会づくりを
第13回自然農法・EM技術交流会京都大会が、国立京都国際会館で2月16,17日に行われ、全国各地から自然農法実施者や環境浄化のボランティアら延べ約1800人が参集、最新のEM技術を学び合い、互いの交流を深めた。
この大会は、自然農法とEM技術を活用して、農業がもつ国土保全、環境保全、教育などの多面的機能を発揮させ、循環型社会をつくることを願いに、平成8年より毎年開催されてきた(主催:有用微生物応用研究会、協賛:(財)自然農法国際研究開発センター、鰍dM研究所、全国EM普及協会)。
EM技術と自然農法の普及とともに内容が充実し、参加者が最新の技術情報を得られる他、互いに親睦を深める絶好の機会となっている。
充実度増す分科会
大会初日は、農業分科会(水稲、畑作、茶、畜産)と環境・菜園分科会(水質浄化、生ごみリサイクル、教育、福祉、自給菜園)が行われ、参加した約600人が各分野の優良事例の発表に熱心に聞き入っていた。
農業分科会では、石川県の「富来有機の会」代表の濱谷清一さんが、EMボカシ製造などを行政やJAと一体になって取り組むことで、安心・安全・おいしい米作りを実現していることを報告した。
また、北海道で全耕地約24haのうち約11haで、EMを活用した有機農業を実施する早川仁史さんは、米、大豆、メロンを栽培。特にメロンは無農薬で17連作をしており、参加者の注目を集めた。
環境・菜園分科会では、産・学・官・民連携による食品リサイクル事業(石川県加賀市)として、家庭や食品関係業者30社、公立小中学校23校から出される生ごみを回収し、EMで堆肥化して有機農業実施者に頒布(はんぷ)することで、有機農産物の生産や、年間の可燃ゴミ排出量約1000tの減量につながっていることが紹介された。
また、兵庫県川西市内の全小・中・養護学校(24校)で、EM活用によるトイレやプール清掃を実施したところ、年間経費が約180万円削減。トイレの悪臭も消え、生徒が積極的に掃除をするようになり、学校全体に落ち着きが戻っていることが報告された。
きれいな地球を子供と孫に残すためにも、有機農業推進の意義が大きいことを確認し合った
無農薬で17連作の早川さんのメロン
一層の社会貢献を
二日目は、「自然から学ぶ生き方を求めて〜きれいな地球を子供と孫に」をテーマに、フォーラムが開催された。
はじめに、登山家で医学博士の今井道子氏が講演。南極の氷山やモンブラン(ヨーロッパ最高峰)の氷河の写真を紹介しながら、地球温暖化が確実に進んでいる状況を説明。温暖化を防止するには、二酸化炭素だけでなく、熱エネルギーの削減も必要不可欠と指摘し、植林事業や都市の緑化(ビルの屋上の緑化)を提案。自宅の屋上を菜園化したところ、夏の部屋の温度が3〜4度下がったことを紹介し、「自然からアイディアをもらいながら、自然とともに生きていくことが大切」と訴えた。
次に、比嘉教授が前日の分野別交流会について講評する中で、「有機農業推進法が施行され、有機農法や自然農法を社会的に活用できる体制が整った意義は大きい。EM技術の活用で環境が良くなり、地域活性化を促進する状況をもっとつくろう」と呼びかけた。そして、世界各地の環境浄化の取り組みをスライドで紹介した。
子供と孫のために
続いて、自然循環型の地域社会の実現に向けた具体的な議論を5人のパネリストが行った。
ツルネン・マルテイ参議院議員は、「今後10年で国内の農産物に占める有機農産物の割合を1%から50%に上げたい。農薬や化学肥料が人や環境に悪いことを伝え、有機農産物の需要をもっと増やせば可能だ」と力強く語った。
農林水産省の福田氏は、有機農業推進に関する基本的な方針として、23年度までに@技術体系の確立、A指導体制の整備、B環境保全の理解度の増進(50%以上)、C推進計画は全都道府県、推進体制は全都道府県と50%以上の市町村で整備、の4項目を行うことを紹介。有機農業推進の支援体制強化のために、20年度予算は約5億円を計上したことも報告した。
早川さんは、「有機農業は、環境保全機能が高いことが分かってきた。このプラス面を伝え、行政・生産者・消費者が一丸となることが重要だ」と訴えた。
比嘉教授は、「有機農業で問題になるのは衛生問題や病虫害対策だが、EM技術を駆使 (くし)すれば確実に対応できる。情報を共有してシステム化することで、有機農業を急速に推進することは可能である」と強調した。
最後にコーディネーターの保田氏が、日本の食料自給率が50年前から毎年1%ずつ下がり、現在39%にまで低下したことにふれ、私たちが輸入に頼り、1円でも安いものを購入してきた結果であると述べ、「このままでは40年後、日本の農業は崩壊(ほうかい)する。子供や孫にどんな地域社会を残すべきか真剣に考え、毎日の食卓から改善していこう」と呼びかけた。
(パネリスト)
今井通子 東京農業大学客員教授
早川仁史 北海道指導農業士
ツルネン・マルテイ参議院議員
福田英明 農林水産省環境保全型農業対策室長
比嘉照夫 琉球大学名誉教授
(コーディネーター)
保田 茂 神戸大学名誉教授
循環型社会構築のため生ごみリサイクルを実施
プール清掃に米のとぎ汁EM発酵液を活用