【コラム】着々と軍事力を強化する日本と中国

 場面1:日本のある造船所で先月末、さまざまなミサイルや独自開発の新型「ミニイージス」レーダーを搭載した、最新型の護衛艦が進水した。あきづき型護衛艦(19DD)の4番艦「ふゆづき」だ。韓国メディアの注目を集めることはなかったが、あきづき型護衛艦は、それまでの海上自衛隊の護衛艦に比べ、対空・対艦・対潜ミサイルなど強力な攻撃力を誇る。特にレーダーは、「日本版イージスシステム」と呼ばれるFCS3改良型フェーズド・アレー・レーダーを積んでいる。日本は、この新型艦を過去2年間で4隻も建造した。

 場面2:中国初の空母「ワリャーグ」は先月27日午後、非常に強力な台風15号(アジア名「ボラベン」)が西海(黄海)海上を北上する中、停泊地の大連港から10回目の試験航海に出た。台風など悪条件下での性能試験や、エレベーターを活用した模型艦載機の運用試験を行うものと予想された。ワリャーグは来月ごろ実戦配備されるとの見方が強い。また先月、中国の各ウェブサイトは、新しい071型揚陸艦(排水量1万8000トン級)3番艦「長白山」と改良型中国版イージス艦の、進水間近の様子や進水した様子を報じた。

 場面3:韓国国防部(省に相当)は先月29日、2030年までの軍事力建設および国防改革の青写真を盛り込んだ「国防改革基本計画2012-30」を発表した。09年に発表された「国防改革基本計画2009-20」が20年までの状況を想定していたのに比べ、今回の計画は30年までに韓半島(朝鮮半島)統一が実現する可能性など、安全保障の状況変化を考慮して策定した。韓国型次期駆逐艦(KDDX)および「独島」型揚陸艦2番艦の建造、空中給油機および次期戦闘機(FX)の導入など、海軍・空軍力の増強計画が盛り込まれている。しかし、こうした計画の中には、既に前政権時代に推進されていながら時期が遅れているものも多い。

 このところ、独島(日本名:竹島)や尖閣諸島をめぐる韓日・中日間の対立が激化し、それに伴い韓国周辺の大国、中国と日本の海軍・空軍力増強、中でも海洋紛争の発生時や海上交通路保護に重要な役割を果たす海軍力の強化に対する懸念が高まっている。こうした点から、先月末に発表された韓国の国防改革基本計画は、北朝鮮による局地挑発の懸念に対する備えだけでなく、統一過程および統一後の対周辺国戦略まで盛り込まれるとの期待を集めていた。

 ところが、今回の発表内容はそうした期待に応えていない、という評価が少なくない。「北朝鮮の軍事的脅威は不変」という前提に立ち、対北朝鮮戦略を中心に据えていたからだ。哨戒艦「天安」沈没事件や延坪島砲撃事件を敢行した北朝鮮の振る舞いを考慮すると、国防部の立場や考えも理解はできる。しかし海軍・空軍力建設など先端兵器の増強には通常10年以上要することを考えると「今のうちに緻密な計画を立てておかなければ、統一の過程や統一後の安全保障の状況変化に対処できない」という指摘にも説得力はある。中国は既に1985年の時点で、台湾有事の際に米国の海軍・空軍によるアプローチを抑止し、全世界の海で中国の影響力を拡大するための3段階からなる戦略を樹立し、海軍・空軍力の増強を着々と進めてきた。韓国軍当局や韓国軍首脳部の中・長期戦略に関する洞察や思考は、あまりにも物足りない。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者
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