「韓国本来の味を守ってこそ、世界に広められる」

上海にオープンした韓国レストラン「スモーキー・モト」のシェフ、チャ・ジェヨンさん

 17歳のときから17年にわたって料理の道を歩んできたチャ・ジェヨンさん(34)=米国名:エラン・チャ=は、今月12日に中国・上海の「ルネッサンス上海漕河涇ホテル」にオープンした韓国レストランのシェフだ。同ホテル1階にある「スモーキー・モト(Smoki moto)」は、世界的な五つ星ホテルチェーンが初めてオープンした「直営」の韓国レストランだ。

 「米国の韓国レストランで働いていたとき、ある米国人がチョングッチャンチゲ(納豆に似た大豆発酵食品を利用した韓国の鍋料理)を食べようとしたところ、においがきつくて仰天した。だが、この米国人にチョングッチャンのにおいや味、由来などについていろいろ説明したところ、チョングッチャンを好んで食べるようになった。食文化を世界に広めるためには時間をかけ、粘り強く努力していかねばならない」。チャさんは「スモーキー・モト」を、中国人に韓国料理の真の味を伝える代表的なレストランとして育成していく、と抱負を語った。

 チャさんは、海外の韓国レストランが現地の食文化に同化することに反対している。これは、韓国のハイアット、ミャンマーのシャングリ・ラ、米国のリッツ・カールトンの各ホテルに勤務したり、香港で研修を受けたりした経験に基づく考えだ。「韓国の食文化を西洋化することは絶対にあってはならない。韓国料理の本来の味を守るべきだ。米国人たちは本来の韓国料理を嫌っているのではなく、西洋化された韓国料理を嫌っている。西洋人たちが韓国の辛い食べ物に慣れないのなら、辛さを弱めれば済むことだ」とチャさんは話す。

 チャさんは「スモーキー・モト」のオープンに向け準備を進める中、上海で韓国人が密集する地域の韓国料理店を食べ歩き「真の韓国の味ではない」との結論を下した。そして、テンジャン(韓国式のみそ)やコチュジャン(唐辛子みそ)などの調味料は韓国から直接仕入れ、水キムチ(辛くないキムチ)などの基本的なおかずは自ら作ることにした。テンジャンチゲ(みそ鍋)も、干しダラや煮干し、野菜でだしを取り、8時間煮込んだカンジャン(韓国式のしょうゆ)を入れている。

 チャさんは最近、韓国料理の調理法を体系化する作業を進めている。「食文化を世界に広めるためには『手づくりの味』を排除すべきだ。調理法を体系化せず、個人のオリジナルの味に依存していては、世界に広めるのは永久に不可能だ」とチャさんは語った。

上海=呂始東(ヨ・シドン)特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
関連ニュース