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2012年9月18日16時11分

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スマホで遊ぶエンタメ将棋 「将棋ウォーズ」人気

写真:HEROZの林隆弘社長(左端)ら=東京都港区拡大HEROZの林隆弘社長(左端)ら=東京都港区

写真:将棋ウォーズの画面。勝つと「勝利」という文字が躍る拡大将棋ウォーズの画面。勝つと「勝利」という文字が躍る

写真:条件がそろうと登場するカード。200種類以上あるという拡大条件がそろうと登場するカード。200種類以上あるという

 スマートフォン(スマホ)やiPadで遊ぶ対戦型ゲーム「将棋ウォーズ」に人気が集まっている。従来のインターネット上の将棋サイトや将棋ゲームソフトにはない派手な演出などが好評で、登録者は20万人を超えた。

 将棋ウォーズは、利用者同士がスマホなどを使い、インターネット上で対戦。勝てば段位や級位が上がる。

 特徴はスピード感だ。持ち時間は各10分で、使い切ると即負け。最長でも20分で決着がつくため、空き時間などに気楽に楽しめる。料金は月350円だが、1日5局までなら無料だ。対戦相手は自動的に決まり、その組み合わせは拒否できない。

■カード集めの要素も

 対局中に様々なイベントが起きる点も売りだ。例えば藤井システムやゴキゲン中飛車といった戦法を使うと、創始者の藤井猛九段や近藤正和六段のイラストが入ったカードが画面上に現れる。カードは200種類以上あり、集める楽しみもある。コンピューターが代わりに数手指してくれる「棋神降臨」という機能もある。駒を動かすたびに、「早指し!」「王手」といった文字が躍ったり効果音が鳴ったりする。

 従来の将棋対局サイトや将棋ソフトは、「根っからの将棋好き」を対象にしたものが多く、いわば将棋道場のネット版といったまじめな雰囲気だった。

 だが、将棋ウォーズは一般のゲームと同じような娯楽性を重視し、普段はあまり将棋をしない層への浸透を図った。主なターゲットは初段以下。切れ負け将棋は形勢の善悪に関係なく勝負が決まることもあるため、「秒読み機能をつけて」といった声も寄せられるが、速く決着するゲーム性を優先させた。

 開発したのは、占いやミニゲームなどのアプリを手がける会社「HEROZ(ヒーローズ)」。昨年、同社でインターンシップとして働いていた山本一成さん(26)が提案したのがきっかけとなった。

 東京大将棋部で活躍し、将棋プログラム「ponanza」の開発者でもある山本さんは、携帯ゲームでも将棋の商品を作れないかと考えた。「将棋が気軽にできるものを作りたかった。潜在的なユーザーがいると思った」と話す。「東大将棋」で知られるプログラマー棚瀬寧さん(37)も開発に参加。今年5月にサービスを始めた。今は山本さんも社員として携わっている。

 林隆弘社長(35)は早稲田大将棋部OBで、朝日アマ名人戦の全国大会で優勝経験もある強豪だ。「強くない人にも、いかに楽しんでもらえるかということを考えた。将来は100万ダウンロードを目指したい」

■対局サイト人気 ソフト低迷気味

 将棋対局サイトで最も有名なのが、「将棋倶楽部24」だ。パソコン版は無料で、会員数は27万人を超す。英語の無料対局サイト「81dojo」も海外ファンなどに人気だ。

 コンピューターを使った対局といえば、従来は人間と将棋プログラムとの対戦が主流だった。PS3やニンテンドーDSなどのゲーム機ごとにソフトがあり、開発が進んでアマ高段者の力を持つまでになった。

 しかし、近年は対局サイトが人気を集めたのと、ソフトが強くなりすぎて新商品の購買意欲につながらないこともあり、売れ行きは激減しているという。開発者の一人は「一番売れたのは2000年前後。今の市場規模は当時の1割ぐらいでは」と言う。制作者側は、最新定跡が学べる機能や、過去の名勝負を鑑賞できる機能を付加するなど、強さだけではない差別化を模索している。(村瀬信也)

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