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自殺の男性の遺族 東電を提訴
9月18日 18時42分

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、避難生活を余儀なくされた福島県浪江町の男性が自殺したのは、原発事故による極めて過酷で重大な被害だとして、遺族が東京電力に対して、賠償などを求める訴えを福島地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、自殺した浪江町の五十崎喜一さん(当時67)の妻、栄子さん(63)ら3人です。
訴えによりますと、五十崎さんは原発事故直後に避難所を転々としたあと、二本松市内のアパートで、妻と共に生活していましたが、去年7月、飯舘村にあるダム近くの橋から飛び降りて亡くなりました。
五十崎さんは次第に眠れなくなったり、食欲がなくなったりしたうえ、残った自宅のローンなど将来について不安を訴え、「浪江に帰りたい」と繰り返し話すようになったということです。
訴えでは、「自殺は原発事故の被害の中でも極めて過酷で重大な被害であり、こうした悲劇を2度と起こしてはならない」として、7600万円余りの損害賠償を求めています。
妻の栄子さんは「原発事故で死んだ人はいないという人もいるが、夫は自殺しました。原発事故さえなければと思うと悔しいです」と話していました。
弁護団によりますと、原発事故が原因で自殺したとして遺族が訴えを起こしたのは2例目です。
東京電力は、今回の提訴について、「当社として承知していないため、コメントは差し控えさせていただきます」としています。

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