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塗装〜最終チェック

■塗装工程へ

「さあ、ここから塗装工程に入る。始めに目止めだ。」

「塗装も古い時代の工程を尊重し、目止めから昔ながらの油性のフィニッシュで仕上げているんだ。」

と話している先で、気の良さそうなおじさんが作業をしていました。
でも、作業中の表情は真剣で、一本一本丁重に刷り込むような感じで塗り込んでいました。


■塗装工程さらに奥へ

「ここのブースで塗装をおこなっているんだ、もちろん昔ながらのラッカー塗装で仕上げている。」
と来た場所は、先ほどまでの木工作業の場所とは離れた別の一角に有り、厳重に管理されているという印象の場所です。
塗料は引火物ですので管理が徹底しているのはもちろんですが、ここでの着色作業では微妙なサンバーストなどもおこなっていますので、埃なども入らないように気をつけているのでしょう。ちょうどこの時に着色工程を行っていませんでしたので、サンバーストを吹いている所を見れませんでした、残念!

■セルバインディングの手掻き

「みんな、これが塗装の着色工程が終わったボディだ!」

 

「このギターにはバインディングがあるので、その上に乗っている塗装をこのような小さな刃物で今から掻き落とすぞ。」


と言いつつジェイソンさんがカリカリと作業を始めました。いやー、このルックスから想像する以上に器用ですね!簡単そうにサクサクと作業をしていますが、これが意外と気を使う作業で、失敗するとバインディングを傷つけたり、塗装面をダメにしたりして今までの作業がパーになってしまいますので大変そうです。
   
しかも、この作業場は若い女の子も多く働いていたりしますが、みんな器用に作業をこなしていました。

■塗装の乾燥

「みんな、ここには入らないでくれ!」

と言われた場所では、大きな広い部屋に塗装が終わったギターが一杯吊るされていました。この場所で塗装後のギターを乾燥させているのですね。
もちろん埃や小さなゴミなどが付かないようにこのように締め切った場所になっているのですね。

「さあ、ここまで終わるとこんな感じになるぞ。」

と塗装工程があらかた終わったギターを見せてもらいました。
その他にも塗装完了のギターが一杯並んでいました。

■バフィング

「みんな、バフ掛けは知っているかい?」
と言われた場所には大きなバフィングマシーンの並んでいました。


「このバフィングマシーンを使って塗装面に艶を出すんだ。塗装が終わったら細かな凹凸をとるように磨き上げていく。」

「そしてこのようなワックスを使って最終的にバフィングマシーンで綺麗な艶を出していくんだ。」
説明を受けている時はバフ前の作業中で、バフィングマシーンを使用して作業している時間ではなかったのが残念ですが、思っていたよりもこじんまりと職人の手で作業されているのだと思いました。
バフィングマシーンも初めに大まかに磨くものと最終的に細かく磨き上げる二段階の工程用に2台だけ設置されており、職人の手で丁重に作業されているのでしょう。このような光景は何十年となく古い時代より変わっていないのでしょうね。このような工程を経て、Gibson独特なフィニッシュの色艶が出ているのだと思うと、伝統を感じるところでもありました。

■ブリッジ取付
「ここは慎重な作業を要する所で、ボディにブリッジを取り付けている。」
と案内された場所では真剣な眼差しで作業をしている、いかにも熟練工という風貌の職人が働いておりました。
「まず、塗装の終わったボディにブリッジ位置を正確に位置決めをし、取り付けるブリッジの形に塗装を切り取る。」
   
「そして接着剤をブリッジに塗り慎重に貼り付ける。」
「これを位置がずれないようにクランプで固定させて完了だ。」
この職人の手際の良さについつい見入ってしまいましたが、これはかなり慎重さを要する作業ですよね!エレキギターのようにブリッジ部分の調整機能を持たないアコースティックギターは、この作業次第で使えないギターになってしまう可能性もある訳ですし、ボディトップの木部に直接ブリッジを貼り付ける為に塗装を切り取っている訳ですが、完成品のGibsonギターはそのような工程を取っていると解らない位に綺麗にブリッジが付いていますからね。そんな作業をテキパキとこなしていくとは凄いです!!

■最終チェック

「さあ、最後にここで最終的なチェックを行っているんだ。弦を張りチューニングを合わせてみて、全体的に不具合が無いかチェックする場所だ。」

 

どんな工場でもそうでしょうが、やはり最終的に商品をチェックして出荷します。もちろんモンタナ工場でもこの場所で行っておりましたが、思っていた以上に一本一本に時間を掛けてチェックをしているとの印象を受けました。もちろん全てのギターを出荷前にチェックして全世界に出荷している訳ですが、そんな慌しさを感じさせない位に入念なチェック体制です。
弦高やピッチ、細かなキズや全体的な仕上げなど、細かな点まで仔細にチェックしておりました。

「どうだったかな、モンタナ工場ツアーは?」

はい、本当に興味深い一日でした、ジェイソンさん、ありがとうございました!

このモンタナ工場は本当に不思議な感覚を覚える工場です。
全世界へ向けてギターを出荷しているGibsonの工場ですので、もっと近代的で大きな工場を思い浮かべても可笑しくないのですが、実際にはGibsonの伝統を継承するような手法を残しつつも効率を高めた比較的にこじんまりとした工場だからです。
職人が手間暇を掛けて創り上げる手法を継承しながらも、効率よく作業が進められるように考えられた作業場所の配置や、細かな道具類などにモンタナ工場の方向性を感じる事が出来ました。
もっと効率よく作業を行う方法も有るのでしょうが、それによりGibson独自の「味」が失われてしまうようならば、昔ながらの手法を選ぶこの工場の姿勢が伺われます。

日産40〜50本という数字は、全世界を相手にしているGibsonからするギリギリの数字だそうですが、この工場を立ち上げた当初の10数年前には10〜20本程度の製作本数しかなかったようですので、今の形を作り上げるのには相当な苦労が有ったのではないかと思われます。


 
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製作現場を見る前に
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ネック製作

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ボディー製作

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塗装〜最終チェック

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カスタムショップ

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