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エピフォン・プロダクトラインのスタンダードモデル(レス・ポール系、G-400、カジノ等・・・)のほとんどが、この2002年より本格的な稼働を始めたGQ(Gibson
Qingdaoの略)ファクトリーで生産されている。
約500名ものワーカーが従事するこのGQファクトリーについて、Gibson Qingdaoのゼネラル・マネージャーであるロイド・ウィリアムス氏は「エピフォンというブランドに対するプライドを持ち、品質管理を維持したうえで生産を高めていくには自社工場の設立は必然であった」と語っていた。
たしかにOEM工場では成しえなかった、工程と工程の間にクォリティ・コントロールによるインスペクションを挿む等、ウィリアムス氏のアイディアが随所で機能している事が今回のファクトリーツアーの中で確認する事が出来た。
また、興味深い点としてはアジア人の「デリケートな細かい作業に慣れている器用な点」を活かした伝統的手工と、そこに新しいテクノロジーとを混ぜて、決して偏らないようにバランスを取る事も大事に考えていると語ってくれた。
ここにはエピフォン社とファミリーブランドであるギブソン社の歴史と経験が随所にそそぎ込まれている点を見逃す事は出来ない。 |
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●木材のストック
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加工前の木材と大まかなサイズに加工された木材がこの場所で保管されている。乾燥後にこの場所で環境に慣らす事と加工した材を落ち着かせる事がこの場所での保管の目的という事である。この段階でクォリティ・コントロールによる等級分けが始まっている。一枚一枚手に取り、目で見て仕分けし、グレードを表記していく。
一般的な工場内のワーカーはブルーのユニフォームを着用しているのだが、クォリティ・コントロールのワーカーはイエローのユニフォームを着用しているので、誰が見ても一目で識別する事が出来る。クォリティ・コントロールからのレポートは直接ウィリアムス氏に届く等、工場内でも重要なポジションに位置付けられていて、スキルの高いワーカーの中から選出されているそうだ。 |
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●ネック材の加工
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ボディとネックの加工は同じ敷地内で左右に分かれ同時に進行していた。
ルーターで切り出されたネック材はヘッドの接ぎ板や化粧板、ジョイント部の角材が次々と接着固定され、ネックらしい形へと変わっていく。真空の接着機で満遍無く貼る手法や工程等やりかた自体はナッシュヴィルの工場と同じだそうだ。
接着が完了したネックは手作業によって加工が施され、よりネックらしい形へと姿を変えていく。
そして、最後にはクォリティ・コントロールのインスペクションが行われ篩いにかけられていく。 |
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●ボディ材の加工
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大まかな形に削られたボディ材にボディトップのアーチを削っていく工程は、ナッシュヴィルの工場と同じである。
その後トップにメイプルの化粧板が接着され、余分な部分を切り落とすと馴染み深いレス・ポールの形へと姿を変えていく。 |
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●指板材の加工
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ボディとネックの木工加工を行っている大きなスペースから移動すると、今度は指板の加工を行っているセクションが現れる。
ここでは指板面やサイドへのポジションマークの接着や指板とネックを接着する部分の平面を作る作業等、指板に関するほとんどの作業が行われている指板に特化したエリアだ。
完成した指板はクォリティ・コントロールのインスペクターによって篩いにかけられ,次の工程に移すと同時に色や寸法等、様々な部分をチェックし等級分けも行っている。 |
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●サンディング
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ここでも最初の木材加工同様に同じエリアの中でボディとネックが左右に分かれ作業が進められている。
トラスロッドが仕込まれたネックに指板が接着されたらネックの状態が落ち着くまで乾燥させる。その後複数のサンダーを使用して、ヘッドやネックのサイド、バック等をサンドペーパーで形を整えていく。
ボディのサンディングもネック同様に段々と形を整え、遂にボディとネックが一つになる訳だがその前には勿論厳重なインスペクションが行われる。
このインスペクションは次の工程へ悪いものを送らないという重要な役割を担っている。 |
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●ボディとネックのセット
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ボディとネックの接着面が綺麗な平面を出しているか、すべてをチェックしてから接着前の微調整を行う。
「こういった作業はアジアの人は器用なのできちんとしている。」と語っていた。中国製といっても工程を端折っている訳ではなく、
デリケートで細かい作業に慣れている器用なアジア人を活かした手工の特徴が出ていると言える。
接着されたボディとネックは接着面が完全に乾くまで、万力で固定された状態で暫く保管される。
また、この時点でモデル名が記された名札のような物がそれぞれに付けられていた。 |
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●アーチトップモデルの加工
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セミ・アコやフル・アコのボディ加工はソリッド・ボディのセクションとは別に製作が進行している。
カジノ専用のプレスマシンがあり、エピフォンにとってカジノが如何に大切なモデルなのかが窺える。現在のカジノのシェイプはUSA
John Lennon Casinoと同じシェイプであるとのことだ。
ここではボディトップ、サイド、バックのプレスから、各面の圧着やセンターブロック等の接着、バインディング加工等が一つの
エリアで進められている。話はそれるが「アジアの人達はバインディングの接着も上手だ。」とも語っていた。
アーチトップモデルのボディとネックもこの場所でセットされ、ソリッドモデル同様に万力で固定される。 |
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●塗装
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塗装面を整える為にサンドペーパーによるサンディングが行われ、その後ナッシュヴィルではお馴染みの“ステイン”が塗られる。
塗装ブースに移り、温度調整等の管理も万全な状態で、まずは木の表面を落ち着かせる為に“シーラー・コート”と呼ばれるクリア・コートを吹き付ける。30度位の温度で最初のクリアをかけて、もう一度クリアをのせてロゴを挿む。
さらに本塗装前の保護塗装(中塗り)と乾燥を繰り返した後に、なるべく沢山の部分をマシンでサンディングして、どうしてもマシンが入らない部分は手作業でサンディングする。このサンディングは3段階行われる。
そして本塗装が行われてから「スリーピング・ルーム」と呼ばれる場所で一晩(24時間)乾燥させ、落ち着かせる。
熱をかけた木は必ず何処かで落ち着かせなければならないと言う事だ。
塗装エリアの壁にはプロダクトラインのカラーサンプルが何時でも確認出来るように用意されていた。 |
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●フレッティング
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ここでは青島GQファクトリーならではの工程を見る事が出来る。
ほぼギターが出来上がった状態で専用のマシーンで指板面のアールをつけるのだが、ギターが出来てから指板にアールをつけるとより正確に加工する事が可能で、USAと比べても近代的な工程であると言える。
次に手作業でフレットを仮打ちしてからボディが左右に動くプレスマシンで圧力を均等に掛けながらしっかりとフレットを打ち込んでいく。
そして指板からはみ出した余分なフレットを専用マシンでカットして、後は手作業でフレットのエッジを斜めに整えていく事になる。 |
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●バフィング
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塗装の乾燥が終了したギターはシリアル・ナンバーがヘッド裏に印される。ギターに命を吹き込む瞬間と言えるかもしれない。
そしてバフィングへと工程が進むのだが、複数のバフィングマシンが同時に稼働して作業を行う姿は壮観であった。
バフィング以外のフレットや指板のサンディングもこの場所で行われていて、クォリティ・コントロールの厳しいインスペクションを通過したものだけが、いよいよファイナル・アッセンブリーへ進むことになるのだ。 |
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●ファイナルアッセンブリー
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ナットの取り付けと溝切りが行われてから、各パーツの取り付けがこの場所で行われる。
パーツの取り違いが無いように各パーツのセットが出来ていて、また壁一面にはプロダクトラインのサンプルや配線のサンプル、パーツの一覧が実物で展示されていて、誰もが確認出来るようになっていた。
各パーツの取り付けが終わったギターはアンプに繋いだ状態で検品は行われ、勿論その後クォリティ・コントロールのインスペクターによって更に篩いにかけられる。ここを無事通過したギターが始めてシリアル・ナンバーや完成した日時等がシステムに入力されて、遂に全世界へ向けて出荷される事になるのだ。 |
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