フェスタ惜しい!世界へ頭差/凱旋門賞
<凱旋門賞>◇3日=ロンシャン◇G1◇芝2400メートル◇3歳上◇出走19頭
【パリ3日=和田美保】惜しい! 11年前2着に泣いたエルコンドルパサーのリベンジに臨んだナカヤマフェスタ(牡4、二ノ宮)の蛯名正義騎手(41)が、再びゴール前で壮絶な一騎打ちを繰り広げた。わずかに頭差及ばなかったが、英ダービー馬ワークフォースと堂々渡り合い銀メダル。武豊騎手(41)のヴィクトワールピサ(牡3、栗東・角居)は56キロのアドバンテージを生かせず、7着に終わった。
悲願に手が届きかけた。フォルスストレートを抜けて533メートルの直線。馬群から力強く抜け出したナカヤマフェスタが、残り300メートルで先頭に立った。いける! 蛯名が必死に手綱をしごく。並んできたのは1頭。内から英ダービー馬ワークフォースが忍び寄る。残り200メートル、3歳で重量が3・5キロ軽い相手が前に出た。あきらめない。蛯名とムーアの壮絶なたたき合い。しぶとく食らい付く。ゴール前、驚異の差し返しを見せたが、頭差まで詰めた地点で無情のゴールが待っていた。
前日まで降った雨の影響で馬場は非常に重かった。パワー型の欧州勢に有利と予想されたが、泥田のダービーで後方から4着に追い込んだ道悪の鬼は、59・5キロを背負っても見事に対応してみせた。道中は馬群の外めを追走。直線手前で狭くなる場面もあったが、ジョッキーの好リードが光った。「この馬自身の競馬はできた。4コーナーで内も外もごちゃついたけど、3着馬(サラフィナ)も相当不利を受けているだろうし、許容範囲。よく頑張って走ってくれた」。
99年、30歳の蛯名はエルコンドルパサーで逃げ、最後にモンジューに差されて大金星を逃した。戦いの後に開かれたパーティーで、おえつした。あと1歩のところで、手から擦り抜けた感触。その思いが涙となってあふれ出た。当時の半馬身は時を経て頭差に縮まった。69年、故野平祐二騎手とスピードシンボリが初めて挑戦してから41年。最強馬ディープインパクトでさえかなわなかった、日本のホースマンが長年夢見てきた欧州最高峰。本当に惜しかった。「この馬の力を出し切ることに集中できた。もう1つ上があったから何とか勝ちたかったけど、頑張れたなという気持ちもある。これで終わりじゃない。まだ4歳だし、欧州の馬場にも対応できると分かったわけだから、もう1回チャレンジできたら」とジョッキーは再挑戦に意欲を見せた。
今年の宝塚記念で初めてG1を勝ったばかりのステイゴールド産駒。振り返れば父もドバイでG2、香港でG1を制したように海外で強かった。その血がロンシャンで騒いだのだ。
二ノ宮師の胸にもまた、さまざまな思いが去来した。勝算を見込んで、勝負をかけて挑んだ一戦だった。「なかなかこういう馬には巡り合えない。前のオーナーが亡くなったり、いろいろないきさつもあったから…」。前オーナーの和泉信子さんは、現オーナー和泉信一氏の長女。昨年、がんで他界した。信一氏は「亡くなる2カ月ほど前、主治医からもう好きなところへ行かせてあげてください、と言われて。信子を大好きなパリへ行かせた。娘はパリが大好きだったから」。力を振り絞る蛯名とナカヤマフェスタの背中を後押ししたに違いない。
[2010年10月4日9時22分 紙面から]
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