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【社会】

ギョーザ紛争和解 宇都宮 浜松の催し初出店

「日本一」から転落し、折れた鼻にばんそうこうが貼られている宇都宮側の日本一奪還キャラクター「宮の天狗様」。右は餃子像=宇都宮餃子会提供

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 浜松餃子(ぎょうざ)学会(斎藤公誉(きみたか)会長)主催の餃子の祭典「浜松餃子まつり2012」(二十九、三十日)に、ライバル宇都宮餃子会の老舗加盟店が初出店する。十五年間、消費日本一だった宇都宮が昨年、浜松に首位を譲ったのをきっかけに“歴史的和解”が成り、餃子業界の振興に手を携えることになった。 (勝間田秀樹)

 両者が一時ぎくしゃくしたのは、餃子の消費量「日本一」の座をめぐって。

 宇都宮側が日本一とする根拠は、県庁所在地と政令市を対象にした総務省の家計調査で、あくまで家庭の購入額がベース。ところが浜松側は二〇〇七年に政令市になる前、家庭の購入額だけでなく、外食も含め独自に購入額を調べ「日本一」を主張。行き違いで関係は悪化した。

 浜松が政令市となり、日本一争いの土俵が同じになった後は宇都宮が一、浜松が二の順位が定着。ところが昨年、浜松が首位を奪うと斎藤会長は「震災の計画停電で餃子を作れなかった。勝負なしだ」と声援を送った。

 震災の影響がさめやらぬ昨秋、津ぎょうざ協会が仲裁役となり和解。浜松側の日本一宣言をめぐり「宇都宮に不快な思いをさせたことを認め謝する」との文書を交わした。

 今回、宇都宮の名店「餃子会館」を送り出す宇都宮餃子会事務局の鈴木章弘さん(40)は「同じ日本の餃子界。いがみあっていても仕方ない。たかが餃子ですが、浜松と競い合うことで、餃子界を活気づけたい」と話す。

 長年日本一を守ってきた宇都宮の巻き返しも必死だ。商工関係者らが「日本一奪還推進委員会」を設立。自虐的にも映る鼻の折れたてんぐのキャラクター「宮の天狗(てんぐ)様」を前面に出し、宇都宮市民に消費拡大を訴えている。

 効果あってか、一〜六月の世帯当たり購入額は累計で千八百五十円で浜松に四百円差を付けられていたのが、七月分を加えると、浜松の二千六百十四円に対して宇都宮が二千四百十五円と、百九十九円差まで猛追。再び首位をうかがう情勢となった。

 斎藤会長は「震災が起きての一位という形ではあったが『とにかく元気になって』という本音が宇都宮に伝わった。宇都宮が一位を奪回してくれれば、今度は正々堂々、浜松も奪回に動ける。餃子界全体に注目が集まれば万々歳」と、よきライバル関係を歓迎する。

 

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