きょうの時評
日韓関係 竹島対立を拡大するな(2012/09/18) | |
日韓関係、日中関係が竹島や尖閣諸島をめぐる対立で冷却化している中で、ロシアのウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれた。 日韓、日中ともに首脳会談は予定されていなかったが、「立ち話」の形で非公式の会談が行われた。野田佳彦首相は李明博大統領、胡錦濤国家主席に対して「大局的に対応」することを訴えた。領土問題は国民のナショナリズムを煽(あお)るだけに、冷静さを取り戻すことが必要で、「大局的な対応」を訴えたことは歓迎したい。 特に日韓関係は、大国化していく中国への対応や、核問題を含めた北朝鮮への取り組みなどで共同歩調が必要とされている。日本と韓国は民主主義と市場経済という共通の価値観を共有する隣国だ。 李明博大統領の8月の竹島上陸は、両国のナショナリズムを煽る行為だった。天皇訪韓に関する発言も不適切だった。日本では、こうした行為に対する対応として10月末に期限を迎える日韓通貨交換(スワップ)協定の拡充見直しや、韓国の国連非常任理事国立候補への不支持、竹島まで泳ぐイベントに参加したタレントの入国禁止まで議論になっている。 韓国でも日韓漁業協定の見直しの声が出ている。日本が対応措置に出れば、韓国も新たな対応措置に出るだろう。竹島問題の対立を他の分野にまで拡大すれば悪循環は拡大する。竹島問題で日韓関係全体を壊す愚は避けなければならない。 非公式な形でも日韓、日中の首脳が会談したことは評価したい。対立している時こそ対話が必要だ。李大統領の竹島上陸から1カ月がたち、日韓の外交当局には「冷静さが必要」という共通認識が生まれてきたようだ。 李大統領は最近、日本問題の専門家を集めて懇談をした席で「(悪化した)韓日関係を大局的かつ建設的に改善したい」と語り、日本を刺激するのは本意ではないと話したという。 日韓の往来は2010年には年間500万人を突破、韓流ブームなど日韓の市民レベルの交流は拡大、深化している。東日本大震災被害に対する韓国の人々の自発的な支援も忘れたくない。 小泉純一郎政権時代に始まった日韓首脳の「シャトル外交」は最近、中断状態で、李大統領は一度の公式訪日もなく任期を終えそうだ。日韓の市民の対話は深まっているが、政治家同士の対話は深まっていない。 竹島の対立が「解決」できないなら、当面、これを「管理」する方法を考える必要がある。竹島という対立を抱えながらも、どうすれば良好な日韓関係を築けるのか、ともに知恵を絞るべきだ。 |
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