野田首相の自宅・事務所前で落選デモ 「千葉の恥だ」

野田首相の事務所前。正面のビルの2階に入居している。=17日、船橋市。写真:田中撮影=

野田首相の事務所前。正面のビルの2階に入居している。=17日、船橋市。写真:田中撮影=

 この御仁ほど国民感覚とかけ離れた首相が他にいただろうか。テレビの報道番組で「“税と社会保障の一体化”は弱者のため」と発言し、新エネルギー政策で「2030年代には原発をゼロにする」と言いながら大間原発と島根原発は予定通り建設する。

 生活に深刻な影響を及ぼす消費税と原発で、これほど筋道の通らないことを言われて黙っている国民は珍しいはずだ。千葉県船橋市にある野田佳彦首相の事務所と自宅に市民がきょう、デモをかけた。「退陣を」などという生やさしいものではない。「次の選挙で落選させよう」というノダ。

 筆者が認識しているだけでも、野田佳彦首相の自宅と事務所には過去2回デモがかけられている。地元の船橋市を練り歩く「野田落選デモ」を加えると4~5回に及ぶ。

 この日のデモ参加者の大半は、千葉の有権者だった。

 「野田(首相)は国民の声を聞かない。聞いてるポーズだけ。消費税も許せないけど、原発(再稼働)は絶対許せない。厚顔、千葉の恥だ」。千葉市内在住の主婦(50代)は、まくし立てた。

 『死んだら電気を使えない』と書いたノボリを手にしているのは柏市の夫婦だ。夫妻は官邸前の再稼働抗議集会にいつも参加している。

 「電気は命の代わりにならない。本末顚倒している。野田さんは“原子力規制委員”を任命し、国民のためと言って原発を再稼働した。選挙でえらばれているのだから次の選挙で落とすしかない」。夫はきっぱりと言った。

 松戸市の男性(年金生活者)は、「“原発事故は政府の責任だ”と野田の事務所にひとこと言ってやりたくて来た」と話す。「財界の利益を代弁している。困っている人の立場に立っていない。変に落ち着き払って、もっともらしいことを言うのが腹立たしい。早く総理を辞めてもらいたい」と憤懣やるかたないようすで続けた。

野田氏宅。本人と家族は首相公邸に住んでいるため雨戸が降りていた。=田中撮影=

野田氏宅。本人と家族は首相公邸に住んでいるため雨戸が降りていた。=田中撮影=

 京成薬円台駅から5分も歩くと野田氏の事務所があり、さらに5分歩くと自宅がある。

 事務所と自宅の前にそれぞれ差し掛かると、デモ隊のシュプレヒコールは一段と大きくなった。

 「野田は辞めろ」「政治家辞めろ」「規制委員会の人事案を撤回しろ」…市民たちは路上に立ち停まって抗議の声をあげた。

 警察は「交通の妨げになります」「近隣の迷惑になります」などと注意を促した。とりあえず注意しているといったようすだ。

 自民党政権時、警察は首相宅の真ん前を通るデモを許可しなかった。ところが野田首相は2度も3度もデモをかけられている。民主党政権は長く続かないと警察が踏んでいる証拠だ。

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