白鵬、史上最速７００勝王手！３場所ぶり賜杯へ「最後まで引っ張る」…秋場所９日目

束になった懸賞金を“ごっちゃん”する白鵬

　◆大相撲秋場所９日目　○白鵬（寄り切り）安美錦●（１７日・両国国技館）　３場所ぶりの優勝を目指す横綱・白鵬が東前頭４枚目の安美錦を寄り切って９連勝を決めた。綱取りの日馬富士も西前頭３枚目の豊ノ島を外掛けで下し全勝を死守。平幕の旭天鵬も連勝を伸ばした。９日目を終え全勝３人は０４年春以来８年ぶり。中日まで全勝だった大関・稀勢の里と平幕の高安はそれぞれ土が付き、隠岐の海とともに１敗で追う展開となった。

　確実に勝利を奪いにいった。白鵬は安美錦に立ち合いで左を張るとすかさず上手を取り、右も差した。得意な形だが一気に攻めない。慎重に５秒２をかけて寄り切った。「見て行こうと思った。前に出られた」堂々の横綱相撲に胸を張った。

　名古屋場所に続き初日から９連勝。通算勝利も６９９とし、所要６９場所での最速通算７００勝に王手をかけた。「最後まで引っ張っていこうという気持ち」と、千秋楽まで優勝争いの主役でいることを宣言した。

　３場所ぶりの優勝がかかる今場所。尖閣諸島国有化問題で、千秋楽翌日の２４日から参加予定の日中国交正常化４０周年事業としての北京訪問は再検討中だが、場所後の楽しみに北海道滝川市で育てる自らのブランド米「白鵬米」の存在がある。寒冷で雨が少ない母国モンゴルは稲が育たないとされる。だが、今年から白鵬米は滝川市の技術協力を得て、モンゴル・ウブルハンガイ県で試験栽培がスタート。畳１畳程の田んぼだが、現在順調に成長し、無事に稲刈りまで出来る見込みだという。

　１０月１６、１７日の同市訪問時に、札幌市内で白鵬米のＰＲイベントや、自衛隊滝川駐屯地の慰問などを行う。その際に滝川市からは横綱に詳しい成育状況が伝えられるが、同市関係者は「横綱にはいい報告ができそう」と前向き。大量栽培には５～１０年を要するが、白鵬にとってモンゴルでの稲作は「大きな夢」と語るだけに、試験栽培の成功は励みになる。

　この日は自ら会長を務める力士会が宮城・気仙沼市で新たな土俵を造ることを受け、同市の菅原茂市長（５４）らが宮城野部屋を訪問した。土俵は今年度中の完成予定。市長からは土俵開きへの参加を要請され、快く応じた。日馬富士に対しては「綱取りはこれからプレッシャーがかかるからね」と不敵な笑み。主役の座を、簡単に譲るつもりはない。