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石巻赤十字病院医療ミス 昨年8月、針抜き忘れ女性死亡
| 心嚢(のう)から針を抜き忘れる医療ミスが発覚した石巻赤十字病院=石巻市 |
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宮城県石巻市の石巻赤十字病院救命救急センターで昨年8月、宮城県美里町の女性=当時(53)=の救命処置で、担当医師が心臓を覆う心嚢(のう)に刺した針を抜き忘れ、死亡させる医療ミスを起こしていたことが3日、病院への取材で分かった。病院側はミスを認めた上で「あってはならないこと。遺族の方には大変申し訳ない」と話している。 石巻署などは業務上過失致死の疑いもあるとみて、医師や看護師らから事情を聴き、捜査している。 病院によると、女性は末期がんを患い、昨年8月13日午前8時半ごろ、救急搬送された。間もなく心肺停止状態となり、蘇生処置でいったんは心臓が動きだした。 循環器科の20代男性医師が心嚢に針を刺し、たまった液体を抜き取る処置をしたが、翌14日午前5時ごろ、呼吸が停止し、その後、死亡が確認された。 遺体を検案した別の医師は心嚢に残された針を発見したが、検案書に死因はがんと記載した。針の件は担当の男性医師が院長らに報告した。 病院側は東北大病院に病理解剖を依頼。解剖の結果、残された針が心臓に刺さったために死亡したことが分かったという。 病院側の説明では、針は長さ約7〜8センチ。本来はビニール製の筒に入れた状態で心嚢に刺した後、針を抜き取り、筒を通して液体を取り出す。男性医師は「なぜ抜き忘れたか覚えていない」と話しているという。 病院側は遺族に謝罪するとともに、石巻署に医療行為によって女性が死亡したと届けた。 金田巖院長(65)は「東日本大震災の影響で救急患者が倍増し、医師や職員が疲弊していた時期だったが、大変申し訳ないことをした。今後は処置後にエックス線写真を撮るなどして再発防止に努めたい」と話した。 女性の遺族は「もっと長生きさせたかった。病院側に誠意が見られず、きちんと責任を取ってほしい」と訴えている。
2012年09月04日火曜日
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