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政治
【再び、拉致を追う】「ミスターX」浮かぶ実像
日本側がX氏の実力を測る“値踏み”に使ったのは、北朝鮮にスパイ容疑で抑留されていた元新聞記者の送還問題だ。「金正日総書記に近いなら解決してほしい」と要求した。すると送還は無条件で実現した。日本側はX氏が金総書記に通じる人物と判断した。
交渉場所の8割は上海、大連など中国本土で、残りの2割はアジアの第三国と平壌だった。中国ではホテルを毎回のように変える警戒ぶりをみせた。X氏の付き人は顔が外からみえないようX氏を窓側に背を向ける席に座らせるよう要求した。「情報の人間だな」と日本側は思ったという。
X氏はいつも屈強な保衛部幹部とみられる男を伴い、単独行動は取らなかったという。
しかし、2010~11年に行われていた南北秘密接触で訪韓したとき、X氏はミスを犯したようだ。「彼は韓国の情報当局に単独で取り調べを受けた。それが発覚してスパイ罪で粛清された」(日韓情報筋)
ある日本政府の交渉関係者は回想する。
「われわれと酒も飲んだ。仕事いちずな男だった。北側の人間から『団長』と呼ばれ監視というよりは敬意が払われていた。Xがいなかったら日朝平壌宣言をまとめるのは困難だった」
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