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政治
【産経抄】9月18日
2012.9.18 03:06
[産経抄]
『阿Q正伝』そのものだ。みなさんが中国各地で繰り広げている、日本人や日系企業に対する乱暴狼藉(ろうぜき)の映像を見ての感想です。なんのことかと、首をかしげる人もいるかもしれません。
▼ここ数年、中国の高校生向け国語教科書から、魯迅の作品が次々と姿を消していると聞きます。中国共産党一党独裁体制への批判につながるのを、当局が恐れているのでしょうか。
▼阿Qは貧しい農夫です。自尊心だけは高く、すぐケンカをふっかけます。辛亥革命の混乱の中、意味もわからないまま「謀反」だと浮かれますが、結局革命党の仲間には入れませんでした。それどころか、革命党が起こした略奪事件のぬれぎぬを着せられ、処刑されてしまいます。
▼衆を頼んで押し寄せるみなさんは、一人になると普通の青年なのではありませんか。みなさんが植え付けられてきた、愛国教育は間違いだらけです。「小日本打倒」などと気勢を上げる前に、尖閣諸島について正しい知識を得ていただきたい。
▼実は、怒りの矛先は、格差の拡大や就職難、官僚の汚職を許す政府に向けられている、との指摘があります。「反日」を掲げてさえいれば、当局も見逃してくれるからだ、と。魯迅は、そうした民衆の欺瞞(ぎまん)と、それを利用する政治権力こそ、中国の宿痾(しゅくあ)だと見抜いていました。なんとか覚醒を促そうと決意して、日本留学中に医学から文学へ転じたのです。
▼きょう18日は、柳条湖事件から81年に当たる日とあって、日系社会は緊張の度合いを高めています。あなたたちがみっともない振る舞いを続ければ、国の品格に傷が付くのは避けられません。ぜひ、理性ある行動をお願いします。魯迅もそれを望んでいるはずです。
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