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HIV新薬、米で承認 東北大・JT共同開発
東北大病院内科・総合感染症科の児玉栄一助教(ウイルス学)が、日本たばこ産業(JT)と共同開発した抗エイズウイルス(HIV)薬が、米国で新薬承認された。日本で開発された抗HIV薬の新薬承認は初めて。国内でも本年度内に認可される見込み。 エイズの感染者は世界で3400万人以上、日本でも約2万人に達する。近年、複数の抗HIV薬の服用で免疫力が回復し、感染者の寿命は非感染者の寿命に近づきつつある。 一方で長期間の感染者や発症者の1〜2割に、抗HIV薬に耐性を持つ変異株が出現し、問題になっている。 新薬「エルビテグラビル」は、HIVの遺伝子が、ヒトのDNAを切断・侵入する際に必要とする酵素の働きを止めることで、ウイルスの増殖を防ぐ。 米国で市販される薬は「エルビテグラビル」をはじめ4種類の薬が配合された錠剤。従来の抗ウイルス薬は一般的に、1回につき数錠を1日3回服用しなければならなかった。新薬は1日1錠で、従来の薬と同等以上の効果があるという。 児玉助教は京大助教だった2006年に新薬に関する論文を発表。2009年に東北大に移り、抗ウイルス薬の開発と、ウイルスの耐性メカニズムの解析に取り組んでいる。 児玉助教は「患者の多くは20〜30代で、学校や職場で毎回たくさんの薬を飲めば、病気が他者に知られる。少ない服用はプライバシーの保護になり、患者の負担が軽減される」と話している。
2012年09月16日日曜日
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