アングル:尖閣で過熱する中国の反日感情、「日本製」人気は動かず
[南京(中国) 14日 ロイター] 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐって中国各地で反日デモが起きているが、中国主要都市の小売店やデパートでは、日本製の電化製品や衣料品の売り上げに影響は出ていないようだ。
「南京大虐殺」で反日感情が強いとされる南京でも変化は見られず、日本食レストランの前には普段通り列ができている。同市の繁華街「新街口」近くにある日系の小売店や外食店の店長らは、日本政府による尖閣諸島国有化で反発は強まっているものの、客足の鈍りはないと口をそろえる。
「日本は嫌いだが、西側諸国の人たちが言うように『政治は政治。経済は経済』だ」。南京中心部にある家電量販店ヤマダ電機(9831.T: 株価, ニュース, レポート)から出てきた男性(27)は、買い物袋を手に「私は自分が買う商品の質の方が気になる」と話した。
中国の当局者やメディアは尖閣問題をめぐり、中国政府は必要なら軍事力の行使も含めた断固たる姿勢で臨むべきだとして、日本に対する強硬姿勢を強めている。中国商務省の姜増偉次官は13日、日本との緊張の高まりで日中間の通商関係が損われる恐れがあると指摘した。
世界第2位の経済大国となった中国と第3位の日本。日中関係の不安定化は、欧州債務危機や米景気回復の遅れに打撃を受けている世界経済にも影響が出てくる。しかし、上海や北京では、日本製品に対する需要に目立った変化はなく、これまでのところ尖閣問題をめぐる高官らの発言が消費者の行動に影響を与えている兆候は見られない。
その一方で、すでに中国経済の減速に直面する日本企業が、尖閣問題の影響を受けるリスクは高まっている。南京大学のYu Jingping教授は、日中間の緊張は近年で最も高くなっていると指摘。「2国間経済への影響は中国政府の出方次第だ」とし、「そのインパクトは極めて大きくなる可能性がある」と分析する。
尖閣問題の日本企業への影響はすでに一部で表面化している。大規模販促イベントや記者発表会などの中止や延期を当局から求められる日本企業が増えているという。今週には上海市が、東レ(3402.T: 株価, ニュース, レポート)がスポンサーのマラソン大会の大会名から東レを削除する措置を取った。
中国に進出する日本企業のコンサルティングを手掛けるマイツグループの池田博義最高経営責任者(CEO)は、「多くの日本企業が中国の景気減速を懸念し、消費者需要を拡大したいと考えている。そのため、大規模な販売促進ができないのは打撃となるはずだ」と述べた。 続く...