CM制作ストーリー

はじまり

そもそも企画の発端は、イギンさんのマーク「天車」は映画ベンハーで使われている戦車に似ているではないか!あれをそのまま使えば迫力ある絵づくりと強烈にマークを視聴者に印象づけられる・・・が仕事の始まりでした。
再、再度M.G.Mとの交渉のすえ、こちら側の要望と折り合いがつかず、ならばベンハーを再現してしまえ~!とこれは大変な決断。
あの何十いや何百億の巨費を投じて何年もかかって作ったあのフィルムのスペクタルの何分の一でも撮影することが可能なのだろうか?

はじまり

▲飛行機(セスナ)も簡単に降りられる

  ex)
  1. 青い空が欲しいからハワイ等へいく(特に冬場に夏の商品を撮る)
  2. タレントが海外にいるから、そこへ行ってその人を撮影する。
  3. その国の景色と商品、タレント等をかみ合わせる。
他、いろいろなケースがありますが、たいがい撮影に関して取れる勝算ありのロケーションがほとんど。 今度の場合、映画社の中でも何日で撮影できるか、予算の3倍はかかるのではないかと、大変もめた出発前でした。

ロサンゼルス着

ともかくやってみようとロスに向かったのが6月も半ばを過ぎた時でした。
ここでなぜロスアンゼルスに撮影場所を定めたかは

  1. 映画の都ハリウッドからベンハーに使用した衣装が借りられる。
  2. ベンハーに使った「戦車」が世界中ここしかない。
  3. 戦車を馬につけて走らせる、馬を調教する所がある。

以上の3点でロスに決定。

ロケ地

しかし、戦車を走らせるのに市内では出来ません。どこか広大な土地で、青い空が映り馬が走れる固い土地で平らな場所・・・ただ一つありました。 ロスから車で2時間、フリーウェイを120~140km/時走ってからでこぼこ道を30分程入った所にある乾いた湖エル・ミラージュ(Dry Lake Ellemirage) ロスアンゼルスより約300km離れ、5×10km四方何もない乾いた湖 ここがなければ今度の撮影は出来ませんでした。ただし広さ、硬さは条件に合っても温度が昼間は40度以上に上がり日陰はどこにもないし 総勢40名以上になる撮影隊は何処にいたらいいのか,人間は我慢することにしても馬は倒れて走れないのではないか、一日しか馬の走りに関してはスケジュールが組めずまた新たな不安が出てきましたが とりあえずここに決定。すべてをここにあわせてスタンバイすることになりました。

馬と人

馬と人   次に、戦車を引っ張る馬と、それを操る人の問題。人はさすが映画の都ハリウッド、もう20年以上もスタントマンとして活躍している人3人が見つかり、まずはひと安心。さて馬、ベンハー用に白馬2頭、それに他の戦車2台を引く4頭、それぞれ40度以上の砂漠に近いところを走るのですから交換用にそれ以上の馬も必要、又その馬を止める為にカウボーイが乗る馬が4頭と総勢20頭以上の馬を用意し、戦車を付けて走れるように調教しなければなりません。
調教には10日間かかりましたが、幸い出発前から手紙で調教の依頼をしていましたから、戦車を付けて走れるようになっていました。
ベンハー用白い馬も6頭(交換用も含めて)揃い、あとはお馬様に気持ちよく走ってもらうのを願うばかりです。

▲ハリウッドの映画に出てくる馬はほとんどがメイヤー牧場の馬です。メイヤー牧場の所有馬は約200頭!すごいです。

馬具

馬具   戦車を引っ張る馬具、これは普通の馬具ではなく、ローマ時代の貴族が用いたデコレーションの多い高級な物と思っていたのがM.G.M社にはすでになく、ハリウッド中を丸1日全部捜してもらってあったのがこれ。
ある好事家が大事に保管しておりました。この馬具をこれだけよく集まったと思います。
色も白い馬、黒い馬に合わせて考えました。

衣装

衣装は、世界で一番大きいハリウッドのウェスタンコスチュームで揃えました。
ここは、ビルの1~5階プラス倉庫2つが全部衣装小道具で、日本の時代劇以外はここで揃わない物はありません。

撮影

いよいよ本番。馬20頭は、トレーラー2台で4時間かかるのでAM6:00に出発、撮影隊はAM7:30に出発、現地にAM10:00に集合。
総勢40名、馬20頭がLOSより300Km離れた乾いた砂漠に集合、馬具装着、衣装メイク完成後撮影に入る。日本にはない装備のカメラカーにカメラ2台をセット、走る戦車を追う。又地上にカメラ2台を上下に据え 戦車が正面から向かってきてカメラ前で左右に別れるカットを撮影、約1mの距離をものすごいスピードで駆けてくる馬が走り抜けると、足が震えているのが分かる。何カットか撮ると馬が暑さでバテてしまい、すぐチェンジ。
撮影隊もあまりの暑さにグッタリ、アイスボックス4個にいっぱいにしてきた氷も午前中で無くなる。

撮影スタッフ&撮影機材   午後4時頃に、やはり戦車の横走りを撮っていると、突然馬が暴走約1Km近く走り、2頭の馬に乗ったカウボーイ2人に止められ、ようやくおさまる。
馬を替えて又撮影を始める。すると今度はスタントマンがダウン、馬の力が強い為手綱を引く両手が擦り切れ、手の中がすごい血だらけで 馬から降りたその両腕がブルブルと震えていました。ローハイドを6年もやっていたスタントマンでさえバテてしまった。この撮影がいかに大変なものかがわかる。
が、撮影は続行しなければならない。

▲ハリウッドの映画に出てくる馬はほとんどがメイヤー牧場の馬です。メイヤー牧場の所有馬は約200頭!すごいです。

移動車   午後4時頃に、やはり戦車の横走りを撮っていると、突然馬が暴走約1Km近く走り、2頭の馬に乗ったカウボーイ2人に止められ、ようやくおさまる。
馬を替えて又撮影を始める。すると今度はスタントマンがダウン、馬の力が強い為手綱を引く両手が擦り切れ、手の中がすごい血だらけで 馬から降りたその両腕がブルブルと震えていました。ローハイドを6年もやっていたスタントマンでさえバテてしまった。この撮影がいかに大変なものかがわかる。
が、撮影は続行しなければならない。

▲この移動車は車の後ろにクレーンがついており前と後ろに2台のカメラが備え付けられる、ものすごい車。日本には一台もありません。

車 12台

▲この車をみてください。ひとつのロケーションでなんと12台!映画の撮影と同じです。

戦車とカメラ   分業風景
▲この時、戦車とカメラカー接触し、あわや大惨事!
スタントマンの腕を信用していなければ怖くて出来ない撮影です。
(1mの至近距離を馬が通り抜ける)
  ▲左手にカチンコを持っている人はそれだけの役目、運転する人はこの車を運転するだけ
アメリカでは分業が進んでいて、1人で何もかもやってはいけないのです。

カメラマン以下スタッフ10名アメリカ人、馬関係、モデル、スタントマンを入れると、約30名のアメリカ人との仕事です。 日本語は通じない世界です。

女性編

翌日、女性のカットを市内で撮影。 まったく違う今度はファッションぽい撮影をロス市内4ヶ所で撮影。 ラッシュ試写等全部アメリカで行い、日本で仕上げする。 スケールの大きさが話題になるCM作りでした。

市内で撮影   市内で撮影