エコマーク取得の鉄道玩具のこだわり
産経新聞 9月17日(月)14時12分配信
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タカラトミーが7月に発売した「エコレール」(左)。素材に50%以上の再生素材を使用しており、カラーはエコをイメージできるよう通常の青ではなく、緑に菜食されている。(写真:産経新聞) |
玩具大手のタカラトミーは、看板商品である鉄道玩具「プラレール」で、再生材料を50%以上使用した「エコレール」を7月に発売した。日本環境協会が環境保全に役立つと認めた商品に付与する「エコマーク」を玩具商品として初めて取得した。環境をイメージできるよう、色は従来の青ではなく緑を採用。環境への貢献度をアピールするとともに、幼い子供の環境問題への関心を高めるツールとして注目されている。
エコレールは、従来商品に使われているポリプロピレン(PP)と呼ばれる軟質プラスチックに、廃棄されたプラスチック製品を加工した再生PPを50%以上混ぜ込んだ。リサイクル品を使用することで、製造から廃棄までに発生するCO2(二酸化炭素)を従来比で約1割削減できるという。再生材を使用する分、製造工程が増えるが、販売価格は従来品と同じ367円(レール4本入り)に据え置いた。
開発に着手したのは2010年1月。「玩具メーカーとして本格的に環境問題に取り組みたい」。富山幹太郎社長の号令のもと、社長室に環境課を新たに設置したことがきっかけとなった。そこで発案されたのがプラレールのエコ化だった。
プラレールはデフォルメされたデザインの鉄道車両を青色のプラスチック製レールの上で走らせる3〜5歳男児向け鉄道玩具。今年で販売53年目を迎え、販売したレールの総延長は10万800キロメートル(地球2・5周分)というタカラトミーを象徴する主力商品だ。「会社のメーン商材でエコ商品を出したかったが、一方で伝統的な看板商品だけにメスを入れることには抵抗感もあった」と高林慎享環境課長は振り返る。
最初に取り組んだのは、レールの中央部分に穴を空ける軽量化やレールを薄くする薄肉化による原材料の削減だった。しかし、「製品のイメージが変わりすぎる」「製品の耐久性が下がる」と却下された。試行錯誤を繰り返す中で、たどり着いたのが発想の転換だった。それは、材料の削減による省資源化ではなく、材料そのものを環境に配慮した素材を使うという考えだ。
茶葉や古紙など10種類以上の環境に配慮した素材で試作品を作り続けた。色、強度、コストなど多くの課題にひとつひとつ対応していくなかで、最も適した素材が再生PPだった。食品などを包むPPフィルムなどを低コストで再利用でき、素材を流し込むときの成形機との相性の良さも決め手になった。
当初は、子供が直接触れる玩具に、不衛生なイメージのある再生素材を使うことは親が敬遠するのではないかという懸念もあった。だが、昨年1月に2万人を対象に実施した親へのアンケートで、再生素材への抵抗はほとんどないことが分かった。その結果を反映するように、プラレールの7〜8月期の売上高は前年同期比で約2倍近く増えた。
タカラトミーは昨年6月、環境配慮の自社基準を設定し、その基準を1つ以上満たした商品を「エコトイ」と認定して販売を開始。東日本大震災後の節電意識の高まりで、電池を使わずに走らせるラジコンカーなどのエコトイは脚光を集めている。高林課長は「将来的にはプラレールをすべてエコレールに切り替えていくつもりだ。ここで得た技術を生かし、再生PPを活用した商品展開をさらに広げていきたい」と意欲的だ。(西村利也)
最終更新:9月17日(月)14時12分
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