インフィニット・ストラトス~孤独な銀の王~ (89R)
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第1話 プロローグ 『逃亡』

暗闇の中走り続ける。
ひたすら目的地もないまま走る。

彼は拘束具のような服を着ている。どう見ても一般人の服装ではない。
苦しい,意識が朦朧としてくる。


不味い追いつかれる!

少年の後ろからは猛スピードで何かが接近してくる。



『IS』正式名称「インフィニット・ストラトス」。宇宙空間での活動を想定し,開発されたマルチフォーム・スーツ。

開発当初は注目されなかったが,日本を射程距離内とするミサイル軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ,2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射された。

その約半数を搭乗者不明のIS『白騎士』が迎撃した上,それを見て『白騎士』を捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の戦闘機や戦闘艦などの軍事兵器の大半を無力化した事件。この事件における死者は皆無だった。
この事件以降,ISとその驚異的な戦闘能力に関心が高まることとなった。

日本に飛来した『白騎士事件』によって従来の兵器を凌駕する圧倒的な性能が世界中に知れ渡ることとなり,宇宙進出よりも飛行パワード・スーツとして軍事転用が始まり,各国の抑止力の要がISに移っていった。

そんな代物(しろもの)が少年1人を捕まえる為だけに迫ってくる。悪夢でしかない。

だが少年は諦めず走り続けた。


ISが射撃武装であるアサルトライフルを展開する。
弾は実弾ではなく暴徒鎮圧様のゴム弾だ。だが,ゴム弾でも当たり所が悪ければ死にいたる場合もある。そんなものを容赦なく少年に連射する。

少年は背後から襲うゴム弾の嵐を最低限の動きで避けていく。


「ッ!?」


視界が開けると目の前には地面がなく大きな河に行き着いた。
後ろを振り向くとISが上空から飛来する。

少年は迷わず濁流の河へと飛び込んだ。










「・・・・・・逃がしたか?」

ISの搭乗者の少女は少年が飛び込んだ濁流の河を見る。

「いや,・・・・・・・流石にこれでは奴も死ぬだろう・・・・・」

少女は,少年がこの河の濁流から生きて生還する考えを振り払った。
ISは向きを変えてもと来たルートを引き帰して行く。

「これでよかったのよね・・・・・・」

搭乗者の少女は頬を流れるものに気づきそれを拭い去る。
自分にまだこのような感情があることに驚いた。

また会いたいとすら思えてくる。それほどまでに私は奴のことを・・・・・。




△▽△▽△▽△▽



だいぶ河を流された所でようやく岸に上がる事ができた。
少年は自分が気絶することなく岸に上がる事が奇跡に感じた。濁流の中何度も意識を失いそうになったが死の恐怖がそれを許さなかった。

辺りはまだ暗い,今のうちに少しでも遠くに行かなくては。

どうやら都市部のほうに流れてきたようだ。裏路地を移動していく。体中が痛い,骨は折れてはいないだろうから擦り傷と打撲だろう。

まずい,そろそろ体力の限界だ。


どこかの食堂の裏に来たときにはもう歩く事は出来そうもなかった。壁によりかかり少し休もう。


「ッ!!」


頭が割れそうなぐらいの鋭い痛みが走り意識が薄れていく。その時食堂の裏口が開き誰かが出てくる。
まずい,ここで人に見られるのは!

そこで,とうとう意識を失った。







五反田(ごたんだ)食堂はこの町ではなかなか人気がある食堂の1つだ。
理由は料理がうまい事はもちろん,それに加え看板娘目当てでくる者も多い。

その日も五反田食堂は大勢の客でにぎわいその営業を終えようとしていた。


「蘭,ちょっと裏にゴミ出しておいてくれない?」
「はーい」


五反田食堂の看板娘である五反田(ごたんだ) (らん)は母親である五反田食堂の自称看板娘,五反田 (れん)にゴミを出してきてほしいと言われ裏口からゴミ袋を持って外に出るまではよかった。倒れている少年を見つけるまでは・・・・・・。










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