かるた王者“お手つき”１億円サギ

　かるた王者、“お手つき”―。福井、和歌山両県警は１６日までに、実体のない会社の社債購入を持ちかけ、高齢の女性ら３人から計３７５０万円をだまし取ったとして、詐欺と金融商品取引法違反の疑いで、福井市の会社役員・中谷昌浩容疑者（４８）と、福井県あわら市の会社役員・中崎幹雄容疑者（５５）を逮捕した。全日本かるた協会などによると、中谷容疑者は１９９９年の第３８回全日本かるた選手権大会の優勝者で、２００１年も準優勝に輝いている。

　２人の逮捕容疑は、昨年７～１０月ごろ、中谷容疑者を社長とする福井市の会社「アイジーティー」の社債購入を持ちかけるパンフレットを和歌山市の無職女性（８０）ら３人に発送し、口座に現金を振り込ませた疑い。会社には事業の実体がなく、社債を償還する意思も能力もなかったという。２人は容疑を否認している。

　中谷容疑者は、競技かるたの最高峰である名人戦にも９２年と９４年と２度挑戦者として出場。名人の座を奪うことはできなかったが、９２年は死闘を演じ、当時７連覇中の種村貴史永世名人を初めて５番勝負のフルセットまで追い詰めた実力者として知られていた。中谷容疑者が優勝経験を持つ全日本かるた選手権大会は、１９６２年に愛知・熱田神宮で始まり、今年４月に５１回目を迎えた伝統ある大会。

　福井県警によると、募集のパンフレットを受け取った６０歳以上の男女１１２人が購入を申し込み、うち３０都道府県の７３人が会社の口座に計１億１５００万円を入金したとみられ、裏付けを急いでいる。また、女性らがパンフレットを受け取った後、両容疑者以外の人物から「社債を買えば、６倍の値段で買ってくれる人がいる」などと電話があり、県警は他に共犯者がいたとみて調べている。

（2012年9月17日06時03分  スポーツ報知）

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