金本、田淵超え歴代単独１０位の４７５号「正直、うれしかった」…阪神

試合前、（右から）阿部、高橋由、小笠原から花束を受け取り笑顔を見せる金本

　◆巨人４─２阪神（１６日・東京ドーム）　去りゆくアニキが、強烈な足跡を東京Ｄに刻み込んだ。４点ビハインドの４回１死一塁。金本が宮国のフォークをフルスイングで捉えると、打球は右翼席へ消えた。引退表明後初のスタメンで５号２ラン。「正直、うれしかった。タイガースとしても節目だから」。ＯＢの田淵幸一（現楽天ヘッドコーチ）を抜き歴代単独１０位に浮上する通算４７５号アーチが、現役生活ラストの巨人戦で飛び出した。

　１２日の引退会見。ひときわ力を込めて思いを口にしたのが、この通算本塁打記録だった。「シーズンが始まった時は楽勝で抜けると思っていた」との言葉の後に、「何とかあと１本打ちたい」と本音で続けた。

　そのわずか４日後。６月２３日以来、約３か月ぶりの一発を宮国から有言実行で放ち、本塁打を放った投手数は歴代１位のＴ・ローズ（元近鉄、巨人、オリックス）の２２８人に次ぐ２２６人。巨人戦での通算本塁打数も衣笠祥雄の１０１本、山本浩二の１００本（いずれも元広島）に次いで３位の９６本と、記録ずくめのアーチとなった。

４回１死一塁、金本が右越え２ランを放つ（投手・宮国）

　試合前には敵地にもかかわらず阿部、小笠原、高橋由から花束を贈られた。「他球団だけど、チームの枠を超えてね。感謝です」とうれしそうに頭を下げた。記念のホームランボールは、Ｇ党が陣取る右翼席から手元に戻ってきた。大切に受け取るとキャッチしたファンのためペンを取り、別のバットに日付とサインと「ありがとう」の言葉を添えて関係者に託した。敵味方なく、アニキは尊敬され愛された。

　打点も歴代７位の長嶋茂雄に２差と迫る通算１５２０打点。「あと２で同点か。運が良ければ」と、ひそかな意欲をのぞかせた。残り１４試合。鉄人はまだまだ伝説をつむぐ。