【社説】東アジアで民族主義台頭の引き金となった領土紛争

 中国と日本が領有権を争っている尖閣諸島(中国名:釣魚島)を日本政府が国有化したことで、この島をめぐる両国の対立は一気に高まった。日本政府による尖閣国有化の動きに対抗し、中国は釣魚島を起点とした中国領海の宣布、中国海洋監視船の尖閣領海内への侵入に加え、15日と16日には北京や上海など50都市以上で、数万人による大規模な反日デモが発生した。一部デモ隊は、中国に進出している日本企業10社余りの店舗や工場に侵入し、放火や略奪を行った。

 韓日間の対立が高まる中で突然過熱した日中間の領土争いは、韓中日3カ国の民族主義的な感情が、東アジアの脆弱(ぜいじゃく)な安全保障環境や平和を揺るがせた場合、いつ深刻な問題に飛び火するか分からないことをまざまざと示した。今年11月の総選挙を前に、国内での政権争いに加えて先を争って領土問題に言及する日本の政治家による無節制な行動と、中国による釣魚島領有権の主張が変わらない限り、問題は今後さらに悪化する恐れもある。

 東アジアでこのような異常事態が相次いで表面化した原因は、日本政府と政権担当者、政権を目指す勢力などによる自家撞着(言動の矛盾)的な領土問題への対応と、歴史意識の欠如にある。日本は韓国が実効支配している独島(日本名:竹島)の状況を変えるために露骨な行動を取ったため、逆に日本が実効支配している中国の動きに対しては、これに対抗する論理的な名分を失ってしまった。

 歴史に対する日本の無神経は、日本政府が尖閣諸島の国有化を発表した時期からもうかがい知ることができる。旧日本軍が1931年に現在の瀋陽市近郊で鉄道を爆破し、これを中国の犯行とした柳条湖事件は、言うまでもなく中日戦争の拡大のきっかけとなった。中国人は事件当日の9月18日を国恥日と考えているが、日本はこのことを知りながら、そのわずか数日前に尖閣諸島の国有化を発表した。

 韓中日の政治指導者、とりわけ日本の政治家たちは現在の状況をより深刻に受け止め、問題の悪化を阻止するための責任ある姿勢を示さなければならない。

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