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国際
【正論】参議院議員、元拉致問題担当相・中山恭子
首脳会談の平壌宣言に「拉致」の文言は入っていない。拉致被害者を帰国させる、取り戻すことは全く考慮されていなかったのだ。
だが、5人は猿轡(さるぐつわ)をはめられ、手足を縛られ、袋詰めにされて無理やり連れて行かれた、犯罪の被害者である。私は、どのような理由であれ、被害者たちを拉致犯の手に再び戻すことがあってはならないと考え、官邸内の会議でそう主張した。
激論の末、10月24日夕、「日本政府が5人を日本に留(とど)める」という政府発表を出すことができた。これまで蔑(ないがし)ろにされてきた、国家の意思として「国民を守る」という当然の考え方が、日本外交に取り入れられた瞬間であった。
≪被害者全員解放を重要課題に≫
平壌空港で会った横田めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさんの姿は今も目に焼き付いている。鞄(かばん)に入れていた横田早紀江さんの著書『めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる』を手渡すと、彼女は、日本語は読めないながら表紙にある自分とそっくりなめぐみさんの写真をじっと見つめていた。
あれから10年、25歳となり結婚したと伝えられるキム・ヘギョンさんとめぐみさんが2人揃(そろ)って、もちろん全拉致被害者とともに日本の土を踏むことを必ず実現しなければならない。戦後自国民を守れなかった、守ることを置き去りにしてきた国家の責任である。
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