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国際
【正論】参議院議員、元拉致問題担当相・中山恭子
しかし、自分が大使として管轄する国で日本人が人質となり、その命が危険に晒(さら)されているのに、情報収集のみで良いとは到底納得できず、夫、中山成彬からも「日本人の命を守ることが大使の任務だ」と背中を押され、辞表を胸に独自の判断で救出に当たった。
若い館員たちも事態を深刻に受け止めて全精力を注ぎ、発生から64日後、4人はタジキスタン北部山中で無事に保護された。しかし、日本政府の要請で、4人はキルギスで解放されたこととするためキルギスへ運ばれ、同国政府から日本に引き渡されたのだった。
人質救出の過程で、国民の命よりも他国のことを慮(おもんぱか)り、自分たちの責任を逃れようとする外交姿勢に何度、慄然としたことか。10年前の9月17日、あの背筋の凍るような感覚が蘇(よみがえ)る思いだった。
≪外交の基礎は国民を守ること≫
その10日後、思いもよらず北朝鮮による拉致被害者家族担当の内閣官房参与に任命され、翌月10月15日には、蓮池薫さん、祐木子さん、地村保志さん、富貴恵さん、曽我ひとみさんの5人を平壌に迎えた。一目見て、日本人本来の心、礼儀正しさを失わず、想像を絶する苦労を耐え抜いたが故の強さと優しさを感じた。聞いたところ、北朝鮮からの「出張」命令での訪日であり、日程表には北朝鮮に残してきた子供ら家族へのお土産を買う時間も用意されていた。
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