社説:法科大学院 統廃合を進めるべきだ
毎日新聞 2012年09月17日 02時31分
結果的に法曹の世界は敬遠され、志願者はこの8年で5分の1にまで減っている。優秀な人材が他分野に流れ、質の低下さえ指摘される。
こうした状況を打破するのは容易ではないが、法科大学院の改革は避けられない。
まず法科大学院の統廃合を加速すべきだ。文部科学省によると、今春学生を募集した73校のうち35校の入学者が定員の半数に満たず、20校は10人未満だった。こうした環境で十分な教育の質が保てるのか疑問だ。文科省は補助金の削減で自主的な撤退を促しているが、大学院側も現実を直視し、積極的に統合などを模索すべきではないか。
一方で、社会人など法学部以外の出身者の合格率が上がっていない。多様な人材を集めるのは司法改革の要だ。夜間や通信制など学べる場の確保に今以上の目配りが必要だ。
政府の検討会議が、司法試験合格者の適正規模など法曹養成問題全般について議論を始めた。弁護士の活動領域拡大も重要テーマだ。司法における都市部と地方との格差は依然大きい。地方の支部所在地などに裁判官や検察官が常駐しないため、地方での弁護士活動が制限されている側面もある。法曹人の最大の受け皿が弁護士である。その活性化のために国が果たすべき役割は大きい。