政治【土・日曜日に書く】論説委員・石川水穂 領土保全を怠ってきた政府+(1/3ページ)(2012.4.28 03:24

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【土・日曜日に書く】
論説委員・石川水穂 領土保全を怠ってきた政府

2012.4.28 03:24 (1/3ページ)土・日曜日に書く

 東京都の石原慎太郎知事が米国で講演し、「東京都が尖閣諸島を購入する」と発言したことが論議を呼んでいる。

 全国紙の社説では、産経が「有効な提案だ」、読売が「重要な一石を投じた」と石原発言を評価した。これに対し、朝日は「都の仕事ではない」、毎日と日経も「筋が違う」と石原氏を批判した。

 朝毎・日経3紙の主張は「領土保全は都の役割ではない」という点で共通している。しかし、国はこれまで十分な領土保全策を講じてこなかった。そこに問題があるとの視点が欠落している。

トウ小平発言を“信頼”

 日中平和友好条約の調印を4カ月後に控えた昭和53年4月、尖閣諸島沖に100隻を超える中国の漁船が現れた。多くの漁船が機銃や自動小銃で武装し、日本の海上保安庁の巡視船の退去命令を無視して領海侵犯を繰り返した。

 当時の福田赳夫内閣が中国に抗議し、中国漁船は引き揚げたが、中国側は「事件は偶発的」と言い逃れた。国内では、自民党の一部から「調印を急ぐべきでない」との慎重論も出されたが、福田内閣は予定通り、その年の8月、日中平和友好条約に調印した。

 尖閣諸島については、調印前、園田直外相と当時の中国の最高実力者、トウ小平副首相が会談し、トウ氏は「再び先般のような事件を起こすことはない」と約束した。日本はこれを信頼し、日本の領有権は条約で明確にされなかった。

 2カ月後の10月に来日したトウ氏は尖閣諸島の領有権問題について「10年棚上げしても構わない。次の世代の人間は、皆が受け入れられる方法を見つけられるだろう」と述べた。福田内閣はこの「棚上げ」発言にも異を唱えなかった。

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