日本領海内に侵入した6隻の中国海洋監視船、全て領海内を出る
14日、尖閣諸島沖の日本の領海内に、6隻の中国の海洋監視船が侵入した。日本の国有化以降、ますます反日行動が拡大する中、中国にいる日本人にも被害が及び始めている。
尖閣諸島に向け、海上を進む中国の海洋監視船。
海上保安庁の巡視船と並走しながら、日本の領海内に侵入。
中国側の船内では、制服を着た乗組員が日本の巡視船に対し、「『権利侵害活動』を直ちに停止しなさい。でなければ、もたらされる全ての結果は、そちらが負うことになります」と呼びかけていた。
14日午前6時すぎ、尖閣諸島大正島の北北東22kmの海上で、中国の海洋監視船2隻が相次いで日本の領海内に侵入。
2隻は、領海内を横切り、接続水域を航行し、魚釣島の方向へ向かった。
さらに午前7時すぎには、別の4隻の海洋監視船が久場島の北の領海内に侵入するなど、あわせて6隻が日本の領海内に入った。
野田首相は午前、「警戒監視に万全を期してまいります」と述べた。
日本政府は、首相官邸に対策室を設置した。
藤村官房長官は午前、「中国側に対し、直ちに領海より退去するように強く要求しているところです」と述べた。
中国の国営メディアは、「海洋監視船が尖閣諸島海域をパトロール」とトップニュースで報道。
今回、領海に侵入したのは、中国の国家海洋局の海洋監視船。
これまでも、漁船衝突事件や香港の反日活動家らによるゲリラ的な抗議活動とは、全く違う意味合いを持つという。
東海大学海洋学部の山田吉彦教授は「今までの『漁船』、『漁業監視船』と違い、国家海洋局の直属の船なので、これは日本の海上保安庁の巡視船に近い存在。日本の尖閣諸島の国有化にあわせた形で、国家として、本格的に尖閣諸島の侵略に乗り出したと」と話した。
日本の国有化を機に、さらなる強硬姿勢に出てきた中国。
石原都知事は午後3時すぎ、「追っ払えばいいんだよ、そんなもん。人の家にずかずか土足で踏み込んできたなら、追っ払えばいい」と述べた。
13日、中国農業省漁業局は、東シナ海での休漁期間が終わる9月16日以降、多くの中国漁船が漁に出るだろうとの声明を出し、尖閣諸島海域での中国漁船の権利を守るため、漁業監視船「漁政」を派遣する用意があると表明。
尖閣諸島に中国漁船の大船団が迫るおそれがある。
山田教授は「政府が言う『平穏な状態』というにはほど遠い。今までにない、尖閣諸島の危機。海上保安庁によるダイナミックな海洋警備体制、今までにないほどの海洋警備体制を敷かないと対応できない」と話した。
14日も、北京の日本大使館前では中国人らによるデモが続いている。
掛け声の中には、「日本人を殺せ」などという物騒なものも聞こえてくる。
連日、中国国内で続く日本の尖閣諸島国有化に対する抗議活動。
日本製品の非買運動などが続く中、中国外務省の洪磊報道官は13日、「中国政府が打ち出している正義の要求と、有力な措置を強く支持する」と述べた。
中国外務省の報道官が、反日デモの容認を示唆し、さらに中国商務省の次官が日本製品の不買運動は、その人の権利であり、理解すると発言するなど、中国政府側は事実上反日活動を容認する姿勢。
こうした中、日本料理店が立ち並ぶ北京市内の飲食店街では、ある変化が起こっている。
中国人経営の日本料理店では、デモ隊による襲撃を恐れてか、「わたしたちは中国を支持します」などと書かれた張り紙が出されている。
日本料理店ののれんが中国国旗に変わるなど、飲食店街は一変。
そして、ついに日本人に被害が出た。
上海の日本総領事館によると、現地の日本人が、何者かに道端でラーメンを顔にかけられ負傷。
ウェブサイト上で注意を促している。
15日からの3連休、中国へ向かう旅行者からも不安の声が上がっている。
中国へ向かう人は、「空港とかでストライキとか起きないかと思う」、「報道ではすごいことになっているので、ちょっと心配ですね」などと話した。
この週末も、中国国内ではインターネットを通じ、抗議デモへの参加の呼びかけが行われ、この動きは満州事変のきっかけとなった柳条湖事件から81年にあたる9月18日に向け、さらに拡大するおそれもある。
午後6時現在、6隻の中国の海洋監視船は、全て日本の領海内から出たという。