正倉院正倉:天平より大正の瓦が腐食進む 再び新調へ
毎日新聞 2012年09月11日 22時14分(最終更新 09月11日 22時28分)
約100年ぶりの修理が進む奈良市の正倉院正倉(国宝、8世紀)の屋根瓦の下地について、宮内庁は11日、天平時代の瓦が多い東側と比較して、大正時代に瓦を新調した西側で腐食が進んでいたと発表した。宮内庁は「大正時代の瓦の焼きが甘く、湿気がこもりやすいふき方をしていた」と分析しており、西側の瓦を再び新調するという。
宮内庁によると、瓦は約3万5400枚あり、このうち天平時代のものは865枚で、ほとんどが東側で使用されていた。西側は1913(大正2)年の解体修理で全面的に新調された。
今回の修理で、屋根瓦を全て取り外したところ、下地の木材の腐食が西側で進んでいた。西側は瓦と瓦の隙間(すきま)がほとんどなく、瓦自体も焼きが不十分なため、水気を逃がしにくい「蒸れ腐れ」の状態になっていたとみられる。
正倉院正倉の修理方針を決める懇談会の座長、鈴木嘉吉・元奈良文化財研究所所長は「大正時代は(修理の)業(わざ)が足りなかったのかなと思う」と話した。【伊澤拓也】