イノベーションを実現していくには、高度な専門性を備えた個性豊かで多様な技術者たちが必要です。
夢を持ち、決して妥協せず、徹底的な議論のなかでも先鋭的な見解をトーンダウンさせることなく、見解と見解のぶつかりあいによってより大きな価値を生み出していける、あらゆる分野の技術者たち…。そこに、プランナーやデザイナー、マーケッター、ユーザーなども加わり、専門分野、性別、国籍など全てにおいて多様な人たちが協力し合って創造する“協創”の場を構成できたとき、自然発生的、連鎖的に、大きく世の中を変える"新たな価値づくり"が動き始めることでしょう。
そのために私たちは、テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)という、技術者の願いをたくさん織り込んだ施設の計画を進めています。世界最高レベルの実験設備、“協創”を生み出す空間設計、“協創”を成功させるマネジメント。あらゆる面でベストを追求した研究開発拠点です。人を基軸に置いた経営で空調グローバルNo.1を達成したダイキン工業だからこそ可能な、会社、業種、国その他の枠をのびのびと超える、壮大なオープンイノベーションが、やがてここで幕を開けます。
TICは、空調グローバルNo.1のダイキン工業が空調・化学・油機などの技術をコアに、空気やエネルギーなどの分野で人々の夢を実現していくための、グローバルな研究開発拠点です。私たちはこの施設を、たとえばMITメディアラボにも負けないような世界中の一流の技術者たちを引き寄せる刺激に満ちた“協創”の場に育てていこうとしています。
なぜ“協創”か。それは、私たちの成し遂げたいことが、「モノづくり」から「人々が求める価値づくり」へとレベルを変えたから。創るべきは、モノではなくモノが生み出す様々な価値、さらにはそれによって引き起こされる社会の変革=イノベーションそのものなのです。空気分野についていえば、空間の価値はエアコンだけでなく照明やインテリアなど様々な手段によって高まります。五感に訴える空間価値を最大化しようとすれば、エアコン以外の手段に優れた人や企業との協業が必要です。世界第一線の技術や様々な分野のスペシャリストたちが協力し合って、まだどこにもない"価値"をスピーディに実現可能な夢へと変えるのが、私たちの考える“協創”です。
力ある技術者たちが出会い、激しく魅かれ合いぶつかり合いながら一つの夢に向かって突き進む、世界で一番熱いコ・クリエーションの現場。ダイキン工業のTICは、そこを目指し続けます。
ガラス張りの実験室を背後に持つオフィス。その前面には、各オフィス共有のバルコニー大空間が----。私たちは、TICをそんな空間にしたいと思っています。
規模もメンバーも自在なface to faceの議論から、次々に人類の未来が紡ぎ出されます。挑戦するのはどれも難しい課題ばかり。夢と仲間が支える個々の意欲に満たされた大空間は、常に次の“協創”をはらんでいます。
- 1.みんな分野は様々。ガラス張りの実験室が刺激の宝庫に!
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技術者同士の議論は、互いに分野が違う方が新鮮だし、ミーティングルームよりは現物が目の前にある実験室の方がはるかに盛り上がりますね。そこで、これまで接することの少なかった異分野の技術者たちがいつでも話し合えるようにデスクをレイアウト。すぐ横にガラス張りの実験室を設けます。中でやっていることが気になったら、どんどん押し掛けていって議論を楽しもう!それがここの流儀です。
- 2.いろんな研究機関や他業種企業などからも、どんどん技術者が・・
- 狙いは、会社、業種、国などの枠を超えた“協創”によるオープンイノベーションの創出。その成功の鍵を握るのは、空間や設備を活かすマネジメント力です。たとえば、R&Dプロセスの初期段階で明確な事業シナリオをつくり、相互の信頼を構築してメンバー全員で一つの夢に向かっていく----『人を基軸に置いた経営』を貫き、妥協を知らない議論からだれもが納得するベストの結論を引き出す風土を育んできた当社には、他社を超えて、真の“協創”をプロデュースする自信があります。TICを、優秀な技術者ならだれもが飛び込んでみたいと願う、最も刺激的な創造が渦巻く活性スポットにしていきます。
新型インフルエンザウイルスさえ除去できる当社のストリーマ放電技術を進化発展させれば、動植物を健康に管理・育成できます。透過する光の波長をコントロールするフッ素樹脂と光触媒を活用すれば、においの分解なども思いのまま。さらには、ビニールハウス内に世界各地の空気や水を再現して、人気の特産品をいつでもどこでも生産できるようになるかもしれません。もちろん出荷後は当社の冷凍・冷蔵技術で新鮮なまま食卓へ。世界の農業が大きく変わります。
もし人間の筋肉のような組織を人工でつくることができたなら…。そんな夢を現実に変えるのが、材料・電子制御・油圧・精密機械など最先端技術を結集させた「スマートアクチュエータ」です。電圧をかけると自在に伸び縮みする特殊な樹脂を使った「人工筋肉」。操縦者の動きに同調して動き、人間ならではの繊細な作業を何倍ものパワーでこなす、夢のヒューマンアシスト機能も夢ではなくなります。当社の技術の融合が、人々の夢をカタチにしていきます。
太陽電池、燃料電池、地熱利用など様々なエネルギーを融合させ、「必要な電気を自ら創り、送電までする発電型エアコンシステム」を構築。さらに、エアコンを街ぐるみネットワークして遠隔から集中管理し、街全体でエネルギーの需給バランスをコントロールします。また、熱を遮る塗料を壁や屋根に施す「塗るエアコン」(ゼッフル工法)などもフル活用。ネットゼロ(使用・供給のトータルバランス±0)エネルギーの未来住宅を、空調からつくります。
たとえば、指輪型のリングセンサが血圧や脈拍、血流量を測定。そのデータが無線通信で自動的にエアコンに届き、体調に合わせた温度や湿度の調節をしてくれる。いわば、自分の体そのものが知らない間にリモコンとなって快適をぴったりコントロールしてくれる、魔法のような"ヒューマン・インタフェース型"エアコンです。私たちは、そんなワクワク感いっぱいの未来技術についても、世界トップクラスの研究者たちと共に考え始めています。
私たちは長年「人に基軸を置いた経営」を貫いてきました。年齢や役職、経験などにとらわれることなく互いに心ゆくまで議論し、最後はリーダーが意思決定、その後は一致団結して進む"フラット&スピード"。年齢や役職、経験などに関係なく、専門性が高く思いも強い真の適任者が牽引役となる"コアマン&サポーター"。いずれも個々の"想い"を大切にして、全員に発言を求めます。
イノベーションも、その始まりは、個々の "想い"です。夢物語だ、不可能だと反対されても突き進む熱い"想い"が周囲を巻き込んだとき、パワーが増幅され、奇跡的な成果が生まれます。
だからこそ、私たちは確信しています。一人ひとりの"想い""個性"を最大限に引き出すことを大切にしてきた、私たちだからこそ実現できる“協創”が、あることを。とがった人を、とがったままに、たくさんの人が創るシナジーを、私たちは“協創”と呼びます。そしてそれを社内だけでなく社外とも繰り広げて、大きくイノベーションの輪を広げています。
TICの設立を待たずして私たちはすでに、ダイキングループの人材育成拠点「ダイキンアレス青谷」において、頻繁に"協創合宿"を開催。毎回メンバーを変え、技術分野も国籍も様々な顔ぶれが集って、社外の一流工業デザイナーやプランナー、マーケッターなどと共に数日間討議を繰り返しています。今後の協創活動のテーマを浮き上がらせ、成果によっては即全社プロジェクトを発足させて実行へ。TIC設立後はこれらの協創活動を、より日常的に展開していきます。