'12/9/16
日系企業放火や破壊 中国反日デモ過去最大、28都市7万人超
【北京、上海、長沙、西安共同】日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化に抗議する中国の反日デモは15日、北京や上海、重慶、江蘇省南京、同省蘇州、湖南省長沙など少なくとも28都市に拡大し、計7万人以上が参加。各地で暴徒化した一部デモ隊による日系店舗襲撃が相次ぎ、山東省青島や蘇州で多くの日系企業が放火や破壊行動に遭い、大きな被害が出た。
小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝などに抗議した2005年の反日デモを、1日当たりの参加者数や発生都市数で上回り、1972年の日中国交正常化以来、「中国で起きた最大の反日デモ」(北京の外交筋)となった。日中関係の一層の緊迫化は不可避だ。
北京の日本大使館によると、邦人被害は報告されていない。日本大使館は15日、中国外務省に在留邦人と日系企業への安全確保を要請した。
日本政府は、事態の緩和などに向け政府関係者を中国に派遣するなど対応策の検討に入った。
日中関係筋によると、青島では2万〜3万人が参加。経済開発区にある日系電機メーカーの工場に暴徒が押し入り、オフィスビルが放火された。ビルは数時間燃えた。青島で襲撃された日系企業は、パナソニックなど10社近くに上り、数百人が乱入、生産ラインを壊すなどした。イオングループのスーパー「ジャスコ」でも暴徒が乱入し設備を破壊した。
蘇州ではパナソニック工場の敷地内にデモ隊が乱入。工場は休日で、生産設備に損傷はなかった。日本料理店を含む計約40軒も襲われた。長沙でも日系スーパー「平和堂」に押し入り内部を壊した。
北京の日本大使館前では数千人のデモ隊が15日午後も抗議を継続。広東省東莞や長沙、陝西省西安でも日本車や日本料理店が襲撃された。「南京大虐殺記念館」がある南京でもデモが起きた。
中国では16日と、1931年の柳条湖事件から81年の18日にもデモが呼び掛けられている。