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中国新聞社の連載に新聞協会賞 写真企画「命のゆりかご」
日本新聞協会は5日、中国新聞社の連載写真企画「命のゆりかご〜瀬戸内の多様な生態系」など5件を、2012年度の新聞協会賞編集部門の受賞作品に決めた。中国新聞社の新聞協会賞受賞は13度目で、編集部門では9度目。地方紙ではいずれも最多。授賞式は10月16日に青森市で開かれる第65回新聞大会である。
新聞協会賞は新聞界(通信、放送を含む)の権威と信用を高める活動を促すため1957年に設けられた。本年度は編集部門88件、技術部門3件の応募があり、「命のゆりかご」は編集部門の写真・映像部門で受賞した。授賞理由は次の通り。
「潜水、航空取材を交えて里海の生態系を撮影した写真は、瀬戸内海の現状を明らかにした一級品の記録で、資料的価値が高い。身近にあるが、これまで見たことのなかった自然に光を当て、読者に新鮮な驚きをもたらした。温暖化の影響などを視覚化し、瀬戸内海にとどまらない環境問題を提起した写真報道と高く評価される」
中国新聞社は、編集部門で59年度の連載企画「瀬戸内海」で初めて新聞協会賞を受けた。「ヒロシマ50年」(95年度)など節目の原爆報道でも受賞。今回の受賞は、02年度のキャンペーン「断ち切れ 暴走の連鎖―『ただいま』が聞きたくて」に続き9度目。
経営・業務部門の「夢のボールパーク誕生サポート―地域とともに歩む総合メディア企業の実践―」(09年度)など4度を合わせた全部門で計13度目の受賞は、信濃毎日新聞社(長野市)と並び地方紙で最多となる。
中国新聞社は6〜19日、「命のゆりかご」の巡回写真展を広島市中区の本社1階ロビーで開く。
<岡谷義則中国新聞社社長の話> 写真企画「命のゆりかご」に、日本新聞界で最高の賞をいただき、大きな喜びです。取材にご協力いただくなど、支えてくださった皆さまに感謝を申し上げます。世界有数の多様な生態系を誇る瀬戸内海は、人々の営みを見守る里海です。この栄誉を励みに、今後も取材を継続し、地域の皆さまの期待に応えられるよう努力いたします。
【写真説明】漁で使われなくなった古いたこつぼで、白い卵塊を足で抱えて守る雌のマダコ=山口県周防大島町沖(2010年10月11日付)