◇秋場所7日目
綱とりの大関日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は臥牙丸を左下手投げで下し、7戦全勝とした。23度目の優勝を狙う横綱白鵬(27)=宮城野=も豊真将をはたき込み、初日から7連勝。他の大関は稀勢の里が新小結碧山を押し出して無敗を堅持し、鶴竜は松鳳山をはたき込んで6勝目を挙げた。新関脇妙義龍(25)=境川=も魁聖を押し出して1敗をキープした。
全勝は平幕旭天鵬、高安を含めた5人で、7日目を終えて5人勝ちっ放しは2007年夏場所以来。1敗で安美錦、隠岐の海を加えた4人が追う。十両は新十両丹蔵が1敗で単独首位。
妙義龍は低い姿勢のまま魁聖の懐に飛び込んでいく。186キロの巨体に押し戻されたが、冷静さは失わない。右へ回り込み、さらには左からいなして押し出した。「落ち着いている。バタバタしないっすね」と、新関脇は2日目からの6連勝に笑みを浮かべた。
8日目は綱とりに挑む日馬富士戦。勝てば大関候補として名乗りを上げるのと同時に、日本人力士としては2001年初場所の若の里以来12年ぶりとなる新小結から新関脇の連続勝ち越しもみえてくる。3大関が途中休場した今場所。大関とりの足がかりをつかむことも十分に可能だ。
見た目は筋肉の塊のようである。「定期的に計っているんですけど、筋肉量は102キロとか103キロでした」。ジムに通って腹筋など体幹の筋肉を鍛え続けた結果だ。
8月に山梨県・山中湖で行われた部屋の合宿で短距離走をした。「一番でした。50メートルだったら7秒前半でいけると思います」。抜群の身体能力を誇る。
その肉体を支える一途な思いもある。「オレには押ししかない」。新入幕した昨年九州場所6日目の若荒雄戦。立ち合いで左に変化をした妙義龍だが、それを見きわめられて最後は引き落とされた。「プロは馬力で根こそぎ持っていかれる。後悔しました。オレには押ししかないって」。それからだ。「立ち合い変化とか楽な相撲は取らないよう、自分に言い聞かせています。次につながりませんから」。もちろん、日馬富士にも真正面から挑む。
「楽しみですね。やるからには勝ちにいかないと」。見せ場がやってきた。 (岸本隆)
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