全体的な流れを見ると、C大阪の自滅と言える試合だが、裏を返せば、グランパスの特長の1つであるDF中央の強さが勝利を呼び込む要因になった。
C大阪は立ち上がりから、ショートパスやドリブルで中央から崩すことにこだわった。しかも、グランパスが前線に2人を残しているのに対して同数の2人だけ残すという、リスクをかけた攻撃を仕掛けてきた。しかし、今のC大阪には香川や清武のような存在はいない。グランパスは闘莉王、ダニエルを軸に粘り強く対応するうちに、相手のリズムを狂わせ、自分たちのペースに持ち込んだ。
特に闘莉王は、五分五分と思えるボールでも、自分のボールのように操れる強さ、高さがある。単にはね返すだけではなく、思ったようにボールを返せるから、チーム全体の守備から攻撃への切り替えがスムーズにできる。C大阪の攻撃偏重システムに戸惑った部分もあったが、そこをしのいだことで、力の差をスコアに表すことができた。(元日本代表、グランパスMF・平野孝)
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