贋作・桜庭一樹 日記

2009年07月28日

年とってる場合じゃねぇ…。

うーむ。月末にかけて、エッセイとかの細かい締切をたくさんためてしまって、ぜんぜん終わらず、かなしい……。ゲラが三冊ぶんあって、重ねて置いたら、白いせいかブロックみたいだ。

 小説の缶詰は、秋からの週刊誌連載のぶんで、さっき一章分が終わりました。あぁ、よかった〜。手直しして送ろう……。原稿をもとに編集さんがイラストレーターさんを選んだりとか、いろいろあるようです。

 こもってるあいだに、失敗した前髪(またいとうせいこうみたいに!)もずるずるのびてきて元通りに。よかった。

2009年09月24日

9月某日

 〈週刊文春〉での連載に向けて、毎日、昼から夕方まで、延々、机に向かっている。初めての時代物だ……。
 で、この日は担当のフリル王子ことS水氏と、挿絵をお願いする画家さんとの打ち合わせに出かけることにした。
 出かける前にメールチェックすると、フリル王子から「ちなみにわたくしは例のTシャツを着ていく所存であります」という、短くて硬い感じの連絡がきていた。
 はて、Tシャツって、なんだっけ……?
 あーっ、思いだした!
 その画家さんの絵がプリントされた特製Tシャツで、遠吠えする狼のアップがドーンと胸を飾る、インパクト大のやつだ。こないだ打ち合わせしたときにくれた。
 ガサゴソと探してきて、着る。上がTシャツなので、バランスを考えて下はジーンズにして、近所をうろつくようなかなりラフな格好にて出かける。
 待ち合わせた中目黒の改札で、フリル王子をみつける。おっ、王子は狼の遠吠えTシャツの上から古着風のレースのふわふわジャケットを羽織り、ベルトのバックルはおおきな白馬。貴族の上履き風の靴もフリルつきで、重装備である。となりに、デスクのS尾氏が、こちらは普通のスーツにネクタイ姿で立っている。
 と、歩きだした途端にS尾氏が「今日は秋にしては暑いですね……」とつぶやきながら、スーツのジャケットを脱ぎ、「あぁ、暑い……」と、ネクタイをはずし、「暑い、ほんとうに……!」と、なんと白のワイシャツも脱ぎ始めた。ぬ、脱ぎすぎですよ! 往来で! と、ハラハラする。
 すると、なんと……。
 ワイシャツの下から、遠吠えする狼のおおきな顔が現れた!
 その上から、黙ってジャケットを羽織った。
 ずーっと真顔であった。
 ジーンズ、フリル、スーツとばらばらのテイストながら、無言のうちに、完全にペアルックの怪しい三人組となった。
 結果的に、その格好で、作家と編集者が三人並んで画家さんと打ち合わせすることになる。途中でそのことをころっと忘れて普通に話していたけれど、別れ際に画家さんに「あの、その、Tシャツ、着ていただいて……」と震え声で言われたので、ハッと思いだして赤面した。
 そのまま文藝春秋に行き、一階のサロンで、またペアルックの件をころっと忘れて堂々と打ち合わせする(文春の編集さんや先輩の作家さんや、いろんな人が、前を通り過ぎていった……)。
 それからS尾氏は編集部にもどり、フリル王子と二人で割烹みたいなところに行った。
 フリル王子はもともと〈文學界〉にいて、その後、〈CREA〉など雑誌の編集部に異動になって、そのころ読書特集でお世話になったりした。そしていまは〈週刊文春〉で読書ページなどを担当しているんだった、と思う。純文学とお酒がめっぽう好きで、全身をフリルで覆いつくしている。
 顔はおそらくきれいなのだけれど、じゃあイケかというと、断じてちがう。と、そういえば去年か一昨年、同じ文春の紋別青年に、午前二時ごろ、近所の止まり木にて、巨峰と日本酒のカクテル片手に、わたしは一人、熱弁をふるったことがあった。
わたし「イケは、美人と比べて歴史が浅いため、定義が難しいところだと思うんですけど。わたしが思うに“異性にモテんと眉毛をひっこ抜いたりチャラチャラした軟弱な服装をしたあげく、その企みに成功した、不埒な輩”のことではと。しかしS水氏はおそらく、モテのためにお洒落してるんじゃなく、己が己自身でいるためのフリルなので、顔がきれいで服装がお洒落だからといって=イケじゃない。つまりですね、あのフリルはわたしにとっての空手とか、なにか、そういうものだと、信じるわけです」
紋別君「ひょー……(←き、聞いてる?)」

 わたしのイケ論を、興味深く聞いてくれる人は、この世にひとっこひとりいない……。
 まぁ、それはともかく、割烹にてフリル王子と、最近の本とか映画の話をする。連載の最初四回分のゲラを出して打ち合わせしたりしていて、二時間ぐらい経ったとき、ふとカウンターから顔を上げて、板前さんたちの顔を眺めながら、気づく。
 いまも、ずーっとペアルックだった……。また、忘れてた……。
 あきらかに仕事の話を真顔でしている二人の、謎のペアルック(しかも遠吠え中の狼柄)が、人の目にどんなふうに映っているだろうかと首をかしげる。
 まぁ、でも、あまり気にしないことにして帰宅して、夜。

桜庭一樹読書日記より転載

2009年10月03日

真の愛とは…新宿二丁目…

週刊文春の連載小説の原稿が二章まで上がったので(いま350枚ぐらい?)、ちょっと休憩してます。連載は11月末ぐらいから(前の先生の最終回が載ってから)のようです。
 それで、GOSICKの続きのプロットを書いたり、『製鉄天使』の小冊子用コメントを書いたり、読書日記をやったり……してるんだけど、窓の外で町内会のお祭をやってて、カラオケ大会で、
「まことの〜あいとは〜しんじゅく〜にちょうめ〜……にちょうめ〜」
 という謎の歌がエンドレス……。誰のなんの歌?
 こんなときこそ、iPhoneを持って喫茶店に逃げよう、と。しかし、果たして四角いこれでお仕事もできるのかな〜。

 そして、ためにためたメールの返事などもいまやってます。これも四角いほうでできるのか……。

2009年12月10日

『伏 ―贋作・里見八犬伝―』


 本日発売の「週刊文春」から、連載小説『伏 ―贋作・里見八犬伝―』が始まりました! よかったらぱらりらしてみてください。

2009年12月31日

一年ありがとうございました。よいお年を!


 ようやく今年のお仕事終わり〜。
「週刊文春」のいま出てるののこのワンちゃん(↑)、周囲でかわいいと評判よいのです。八房の子犬時代。たしかにかわいい。

 みなさまよいお年を!
 わたしは寝ます〜。

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