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県建設業協会(下地米蔵会長)は、本年度から建設業界で働く若手の人材確保・育成事業の一環で、高校生に「建設業経理事務士」の資格取得への支援を始めた。厳しい業界に求められるコスト管理を身につけるため、在学中の資格習得を促し、“即戦力”として就職につなげるのが狙い。本年度は試験的に、沖縄工業高校生を対象に受講料の一部を補助。資格取得による就職活動への効果などの検証も行った上で、来年度からは対象校を広げる予定。協会によると、業界団体での資格取得の支援は全国で初めて。(赤嶺由紀子)
同協会によると、在学生の資格取得は主に技術習得に特化されていることや、土木・建築にかかる国家資格の取得には、実施経験など卒業後最低でも3年かかることなどから、企業が必要としている「即戦力」とのミスマッチもあるという。
今回の支援では、建設業界で重要となるコスト管理や原価計算など総合的な経理の知識のニーズも高いことから、「建設業経理事務士4・3級」取得のための受講費の一部を補助する。
建設業経理事務士は、財団法人建設業振興基金が実施する試験で取得する資格。建設業会計に関する知識と処理能力を高め、経営基盤の強化を目的に1984年から行っている。
4・3級取得には合計約5万円の費用がかかることから、振興基金の在学生を対象にした半額控除に加え、協会でさらに一部を補助し、学生の実費負担を抑えた。
今月初旬には82人が4級を受験。下旬には3級の試験が行われる。9月中旬から始まる就職活動で資格取得をアピールできるよう促していく。
これまで工業高校では同資格の取得はほとんどなく、建設業界で働きたい若手人材のコスト管理意識や経理知識を早い時期から取得することで、企業側のニーズにこたえられる人材育成につなげたい考えだ。
今回は希望する在学生に受講を募ったが、今後は他校にも枠を広げ、就職を希望する3年生に限定する予定。
同協会の源河忠雄総務部長は「技術力だけではなく、建設現場ではコスト管理も重要。そういう知識を持つ人材を育成することで、企業側の即戦力として就職につなげられたら」と話している。