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政治
【主張】自民党総裁選 見えてきた国家観の違い
自民党総裁選の公開討論会などを通じ、5人の候補者の国家観の違いが次第に見え始めた。
日本をどう立て直すかは歴史認識や、領土・主権への対応と密接に絡んでいる。総裁選は、次期衆院選を経て自民党が政権復帰した場合の首相候補選びでもあるだけに、さらに論戦を深めておくことが極めて重要である。
違いが際立っているのは、慰安婦問題をめぐる「河野官房長官談話」の見直しなどだ。
15日の討論会で、安倍晋三元首相は「米国で日本が韓国人女性を性奴隷にしたとする記念碑が建てられ、河野談話が根拠にされている」と指摘し、証拠がないのに日本軍による慰安婦の強制連行を認めた河野談話に代わる、新たな談話の必要性を強調した。
談話は韓国の不当な要求に根拠を与えている。その構図を断ち切れるかどうかが問われている。
14日の共同記者会見でも取り上げられ、町村信孝元官房長官と石原伸晃幹事長は、河野談話は「当時の一つの知恵」とし、林芳正政調会長代理も「積み重ねを踏まえる」と述べた。石破茂前政調会長は「談話という形が正しいかは別として、真実を探求する努力は当然だ」と語った。国の名誉がかかっていることを認識すべきだ。
首相の靖国神社参拝について、安倍氏は「首相在任中に参拝できなかったのは痛恨の極みだ。そのことから考えていただきたい」と参拝に強い意向を表明した。石破、石原両氏は「天皇陛下のご親拝の実現」の必要性を挙げ首相参拝には言及しなかった。林氏は回答を避け、町村氏は「首相になってから考える」と先送りした。
国のために亡くなった戦死者の霊に、最高指導者として、どう哀悼の意を示すのかをもっと語ってほしい。
尖閣諸島の実効統治についても、積極的に強化すべきだとする立場とそうでない慎重派に二分された。石破氏は「多様な事態に対処する部隊」として海兵隊創設にも言及し、安倍氏は避難港の創設や公務員の常駐などを訴えた。
これに対し、町村氏は「施設をつくれば実効統治が高まったと断定するのは性急だ」と外交努力の必要性を唱えた。政府による尖閣国有化を「虎の尾を踏んだ」と評した石原氏も外交的努力の不足を強調したが、尖閣奪取を強める中国をどうみているのだろうか。
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