蔚山姉妹殺害犯、社会的に孤独だった

親の離婚で居所転々
「カカオトーク」90%が交際相手と、別れ切り出されると殺人犯に急変

 13日に逮捕された「蔚山姉妹殺人事件」のキム・ホンイル容疑者(27)=写真=は不遇な少年時代を送り、社会的に孤独だったことが分かった。

 小学校入学前だった20年以上前に両親が離婚、定職に就いていなかった母親と共に経済的な苦しさを抱えたまま城南、天安、釜山、蔚山などを転々として育った。警察によると、成人してからも、4年前に交際を始めた女性以外に連絡する人がほとんどいないほど、社会と背を向けたまま、自分の世界に閉じこもっていたという。そのため、キム容疑者はなおのこと交際相手に執着した。警察によると、キム容疑者の携帯電話通話や『カカオトーク』(スマートフォン向け無料チャット・通話アプリ)の履歴のうち80-90%が交際相手とのものだったという。仕事が終わった後も交際相手とだけ会い、それ以外の時間は家に引きこもっていたそうで、交際相手の知人たちは「ストーカーのようだった」と話している。

 キム容疑者は交際相手に別れを告げられた直後、殺人犯に変わった。同容疑者は警察の取り調べに対し「別れようと言われてプライドがメチャメチャになった」と供述したという。警察関係者は「自分が自分であることを確認する唯一の対象だった交際相手が心変わりしたことに不満を抱え、こうした事態になったのだろう」と語った。キム容疑者は7月20日未明に凶器で交際相手の自宅に侵入、一緒にいた妹も含め2人姉妹を刺して死亡させた。

 警察は「キム容疑者は釜山市機張郡の山に約50日間隠れていたのも、そうした孤独な生活の経験から来る習性だったのだろう」と話す。キム容疑者は事件4日後の先月24日から、自身が通っていた大学の裏山「ハムバク山」に潜んでいた。

 逮捕されたときのキム容疑者は、特に憔悴(しょうすい)した様子もなく、警察は驚いたという。やせてはいたものの、顔色は悪くはなかったとのことだ。「一種の断食効果のようだ」と話す警察関係者もいた。逃亡期間の長さを考えると、あまりひげが伸びていないのもそのためだとみられる。しかし、キム容疑者は気力が尽きた状態で、警察に発見されたときも300メートルほど逃げて観念したのかあきらめた。キム容疑者は「気が楽になった」と供述している。蔚山中部警察署は15日午前に現場検証を行う。

蔚山= 金学賛(キム・ハクチャン)記者
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