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立地自治体に批判やとまどい
9月14日 21時12分

政府は、原発事故を受けた新しいエネルギー政策について、関係閣僚による会議を開き、2030年代に原発の稼働ゼロを可能とするよう取り組むとともに、使用済み核燃料の再処理事業は続けるなどとすることを正式に決めました。これについて、原子力施設を受け入れてきた立地自治体の間には批判やとまどいの声が出ています。

“正しい判断と言えるのか”

このうち、福井県の西川知事は14日から始まった9月定例県議会で所信を述べ、そのなかで、政府の新たなエネルギー政策について、「エネルギー資源に乏しいわが国にとって、原発ゼロは正しい判断と言えるのか。原子力の安全を担う技術や人材をたちまち失い、国民の生活や産業に大きな負担を強いることは明らかで、国の将来を見据えた多角的で現実的な検討が必要だ」と述べました。
そのうえで「県としては、あくまでも野田総理が大飯原発を再稼働させる際に国民に示した『原発を重要な電源と位置づける』という方針に沿って、原子力政策を進めるよう要請していく」と述べ、政府の方針を批判しました。

“何の説明もなく遺憾”

新しいエネルギー政策では「原発の40年運転制限を厳格に適用する」という原則が示されています。
4年後には町内すべての原発が廃炉となる可能性がある福井県美浜町の山口治太郎町長は「原発が立地する地域に何の説明もないまま、原発をゼロにするという方針が決められたことは遺憾だ。原子力政策は国との信頼関係の中でやってきたが、非常に軽視されたという思いが強い」と憤りをあらわにしました。
そのうえで、今後の対応については「まずは政府から方針をきちんと確認し、議会とともに対応を検討していきたい」と話していました。

“核燃サイクル堅持求めていく”

使用済み核燃料の再処理工場などを抱える青森県六ヶ所村の古川健治村長は記者会見し、「再処理事業がなくなるという村にとって最悪の事態は避けられた。『引き続き従来の方針に従い』という文言になった点を高く評価したい」と述べました。
一方、再処理事業の継続と2030年代に原発稼働ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入することが、ともに明記されたことについて「再処理事業で作られるプルトニウムを消費するプルサーマルの行方やMOX燃料を多く使う大間原発についての記載がない。2つの方針は矛盾するので今後の国との協議の中で疑問が解消するようにしたい」と述べ、国に従来どおり核燃料サイクルが堅持されるよう強く求めていく考えを示しました。

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