クローズアップ2012:核燃サイクル維持 「原発ゼロ」矛盾抱え 最終処分、政策なく 再処理工場・原発、飽和状態
毎日新聞 2012年09月13日 東京朝刊
政府が週内にもまとめる新たなエネルギー・環境戦略で、30年代の原発ゼロと、使用済み核燃料を再処理して利用する「核燃料サイクル」維持を同時に打ち出すことになった。核燃サイクルは原発稼働が大原則。だが、「原発ゼロ」を支持する世論と、核燃料サイクル施設のある青森県の双方への配慮から、矛盾する二つの方針が盛り込まれ、政府のエネルギー政策論議の混迷ぶりを一層、浮かび上がらせた。
「原発ゼロ」と相いれない「核燃料サイクル維持」が、政府のエネルギー・環境戦略に盛り込まれる背景には、使用済み核燃料を受け入れている地元自治体の原発ゼロへの反発がある。
原発ゼロになれば、再処理でプルトニウムなどの新たな核燃料を作る必要はなくなる。そのため、「原発ゼロ」に踏み込もうとする政府の姿勢を、青森県と六ケ所村は「核燃料サイクルの中止につながる」と批判。使用済み核燃料の受け入れ停止や返却の可能性に言及し、「使用済み核燃料をためる所がなくなり、即時原発が使えなくなる」(枝野幸男経済産業相)可能性を政府に突き付けた。