内柴被告「合意の上」柔道五輪金メダリスト、準強姦罪初公判で無罪主張

　指導していた大学の女子柔道部員に乱暴したとして、準強姦（ごうかん）罪に問われたアテネ、北京両五輪の柔道金メダリスト・内柴正人被告（３４）の初公判が１２日、東京地裁（鬼沢友直裁判長）で行われ、被告は「合意の上で性行為に及んだ」と無罪を主張した。「部員が酔って寝ている間に乱暴した」とする検察側に対し、弁護側は「部員がしがみついてきた」などと反論。両者の主張は真っ向から対立する形となった。

　「性行為をしたことは事実です。ただ（部員は）酔って寝ていたのではなく、間違いなく起きていました。合意の上で行為に及んだのです。私は準強姦などしていません」。起訴内容の認否で内柴被告は、書面を読み上げながら、無罪を主張した。

　被害者参加のため、傍聴席と法廷の間に、ついたてが設置された物々しい雰囲気。五輪２大会連続金メダリストは、白のポロシャツにベージュ色のチノパン姿で入廷した。現役時代は６６キロ級だったが、筋肉が落ち、脂肪に変わったのか、以前よりふっくらとした姿。ややかすれた声で無罪を主張した。

　起訴状によると、内柴被告は昨年９月２０日未明、大学柔道部の遠征先だった東京・八王子市内のホテルで、酒に酔い熟睡し、抵抗できない部員を乱暴したとされる。検察側は冒頭陳述で、当時１８歳だった女性部員との「性行為」の様子を述べた。

　焼き肉店で数人で飲酒し、２次会のカラオケ店から、ホテルへ部員を連れ帰った被告。部員が酔って寝ている間に「覆いかぶさり」、気付いた部員が大声を上げると「テレビの音量を大きくしたり、口をふさいだりした」という。合意のない性行為後は「犯されてないよな」と確認し、他言しないよう求めた、とも指摘した。

　一方、弁護側は真っ向から反論。生々しい描写を入れながら、カラオケ店の段階で、部員が被告の性的な接触に応じたとし、ホテルでは「寝かせようとしたら（部員が）しがみついて離れなかった」と主張。行為中も部員が積極的で、翌日には同僚部員に「（被告の性行為が）めっちゃ下手やった」と話したなどとし、「無罪です」と主張した。

　両者の主張は対立。被告は、未成年の教え子の飲酒に同席した上で性行為をしたことは認めており、刑事裁判としての今後の争点は「合意の有無」になりそうだ。証拠調べの間、拳を軽く握り、落ち着いた様子だった内柴被告。だが、閉廷直前に様々な思いが込み上げてきたのか、目頭や鼻を押さえ、涙をこらえるように目を真っ赤にしていた。

（2012年9月13日06時02分スポーツ報知）