今度の特捜部事件が盛り上がらないワケ
【政治・経済】
「小沢事件捏造の後遺症」なのか
事件は、陸自で運用が予定されている新多用途ヘリコプター「UH―X」の開発を巡るものだ。防衛省と川崎重工業が結んだ随意契約で談合が行われていたんじゃないかとの疑惑が浮かび、防衛省幹部の関与も疑われている。これが事実なら、07年に当時の守屋武昌元事務次官が収賄容疑で逮捕されて以来の「サンズイ事件」になる。しかも、郵便不正事件や小沢事件で信用がガタ落ちした特捜部が久々に手掛ける省庁案件だ。普通なら新聞テレビが検察リークに乗って大騒ぎし、防衛省幹部の自宅前は大勢の記者が張り込んでいておかしくない。ところが、今回は様子がヘンなのだ。事件の概要がチョロッと報じられるだけで、ちっとも進展しない。一体どうしたのか。
<事を荒立てたくない検察の事情が…>
「今回の事件は特捜部の独自捜査で発覚したのではなく、防衛省の防衛監察本部の内部調査で分かりました。防衛監察本部のトップは、梶木寿・元広島高検検事長です。昨年9月に監察監に就いたばかりだから、今の検察幹部は子分同然。検察にとっては、大騒ぎしてコトを荒立てれば、今後の“天下りポスト”を失いかねません。恐らく、検察と防衛省で落としどころを探っているのではないか」(検察事情通)
これまでチョーチン記事ばかり書いてきた司法記者が相次ぐ検察不祥事を受け、てっきり特捜部と距離を置いたのかと思ったら事情は違ったようだ。情報を出すも出さないも、結局は特捜部の都合次第なのだ。